小児歯科学雑誌
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原著
小児歯科専門医院における外科的手術症例の臨床統計的検討
舟木 幸葉渡邊 淳一山岸 敏男嶋田 淳佐野 正之
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2009 年 47 巻 1 号 p. 87-93

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抄録

あすなろ小児歯科医院では,積極的に外科的手術を行っており,その内容は,主に埋伏過剰歯摘出,埋伏永久歯開窓・牽引,粘液囊胞摘出,歯牙腫摘出,上唇小帯・舌小帯切除等である。今回著者らは,2005年1月から2007年12月までの3年間に,当院を受診し,外科的手術を行った患児120名を対象として,エックス線写真および手術所見により臨床統計的検討を行った。外科的手術を行った患児の男女比は7対5で男児にやや多い傾向がみられた。手術内容別には,埋伏過剰歯摘出が全体の47.5%を占めていた。そこで,埋伏過剰歯摘出のなかでも89.5%と最も多くを占めた,上顎正中部に位置するもののみをさらに詳細に検討した。男女比は5対2で男児に多くみられ,萌出方向は逆生歯が71.0%であった。手術時平均年齢は,7歳0か月であった。さらに,パノラマエックス線写真より,著者らの基準で埋伏過剰歯の深度分類を行った。その結果,鼻腔底から歯槽頂のほぼ中央部に存在するものが半数以上であり,年齢が低いほど,浅い位置にある傾向が認められた。この分類は,摘出術の難易度を判定する一材料として有効であり,過剰歯が比較的浅い位置にある,7歳以下での手術実施の方が,患児への侵襲やその後の障害が少なくなると考えられた。

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© 2009 日本小児歯科学会
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