小児歯科学雑誌
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原著
歯胚の方向異常による下顎第二小臼歯萌出障害の臨床的検討
高木 純一郎佐野 富子田口 洋三富 智恵
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2009 年 47 巻 3 号 p. 433-441

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抄録

下顎第二小臼歯は様々な局所的要因により萌出が障害されるが,本研究では特発的な歯胚の方向異常により下顎第二小臼歯の萌出が障害された症例について検討を行い,臨床的対応法についてフローチャートを考案した。調査対象は1979 年から2008 年までに新潟大学医歯学総合病院小児歯科診療室で処置した,歯胚の方向異常に起因する下顎第二小臼歯萌出障害の11 症例15 歯で,診断時年齢は8 歳0 か月~13 歳11 か月,片側性7 例,両側性4 例であった。15 歯中14 歯が遠心に傾斜しており,歯胚形成度が低いものほど遠心傾斜度が大きい傾向にあった(R>0.70)。 また,片側性と両側性の2 群に分けて傾斜度を比較すると,遠心傾斜度は片側性で有意に大きい値を示した(P<0.01)。診断後に全症例で先行乳歯を抜去していたが,傾斜度の大きい場合には,その後歯胚形成がすすんでも傾斜度はわずかに改善するのみで,初期歯根形成期から歯根長1/4 形成期頃にかけて骨開窓や牽引,誘導等の複雑な対応を必要とする場合が多かった。したがって,形成遅延が顕著に認められる場合には,早期に先行乳歯を抜去すると保隙期間が長くなるため,下顎第二小臼歯の歯根形成開始を待って対応した方が良いと考えられた。

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© 2009 日本小児歯科学会
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