抄録
EL/sea マウスを用い歯胚の消失メカニズムに対する形態学的及び免疫組織学的検討を加えた。EL/sea マウスの第3 臼歯歯胚は帽状期まで発育するが,その後は細胞増殖異常により歯胚は発育せず消失に向かった。さらに,歯胚の形態異常の出現にはShh シグナル伝達経路が重要な役割を演じている可能性が示唆された。また,Zip13 欠如マウスを用い歯根膜の維持・恒常性におけるZip13 の役割について検討した。Zip13 は線維芽細胞などのコラーゲン生成細胞に限局して発現が認められ,幼若な線維芽細胞から成熟した線維芽細胞への分化誘導に関わり,歯根膜形成に重要な役割を演じていることがわかった。