小児歯科学雑誌
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総説
アメロジェニンによる骨代謝への影響
齋藤 幹
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2009 年 47 巻 4 号 p. 555-560

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抄録

アメロジェニンはエナメル質形成に重要なエナメルマトリックスタンパクである。近年,アメロジェニンが破骨細胞を制御する可能性が示唆された。そこで本研究ではアメロジェニンとアメロジェニンが主成分であるエナメルマトリックス抽出物(EMD)を用いて破骨細胞形成と骨形成について詳細に検討した。 頭蓋冠骨芽細胞と骨髄細胞との共培養系では破骨細胞形成が抑制された。アメロジェニンは破骨細胞に直接影響を与えておらず,骨芽細胞に作用してフィブロネクチンの発現を減少させることによってRANKL とM-CSF の発現を抑制し,結果的に破骨細胞の分化が抑制された。更にEMD を二次元電気泳動し,免疫染色を行ったところ,EMD にはアメロジェニンとBMP が含まれており,TGF-βは検出されなかった。また,アメロジェニンはnoggin と同様にヘパリン/ヘパラン硫酸を介してBMP と結合し,BMP とアメロジェニンが結合することによって,noggin がBMP と結合できず,noggin によるBMP 抑制効果を阻害し,骨芽細胞のアルカリフォスファターゼ活性を上昇させた。これらの結果から,アメロジェニンは骨芽細胞に作用して破骨細胞の分化を抑制する一方でBMP による骨芽細胞を助ける役割を有していることが示唆された。

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© 2009 日本小児歯科学会
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