小児歯科学雑誌
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臨床
下顎乳切歯の再植を行った2例
三宅 奈美林 文子鈴木 淳司角本 法子太刀掛 銘子香西 克之
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2009 年 47 巻 5 号 p. 787-795

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抄録

従来,外傷時の乳歯の再植は,後継永久歯胚への影響を危惧して禁忌とされてきた。しかし,低年齢期に乳歯が完全脱臼で喪失すると,発音・咀嚼障害,審美的障害や口腔習癖を生じることも多い。今回著者らは,外傷により下顎乳切歯3 本を脱臼した3 歳2 か月の男児(症例1)と,下顎左側乳側切歯を脱臼した 2 歳0 か月の女児(症例2)に対して脱臼乳歯の再植を行い,後継永久歯交換期まで予後を観察する機会を得た。2 症例とも再植した乳歯は,自発痛,根尖部圧痛,発赤,腫脹および変色などの症状を認めず,歯髄処置を行うことなく経過した。その後,正常な歯根吸収を呈し,脱落も正常範囲内に自然に行われ,後継永久歯へと交換した。後継永久歯への影響については,症例1 の下顎両側中切歯歯冠部唇側切端よりに白斑を認めたが,エナメル質の粗造感や実質欠損,萌出時期および位置の異常は認めなかった。一方,症例1 および症例2 の下顎左側側切歯には後継永久歯の歯冠形態や色調に異常は認めなかった。このことは,乳歯の再植処置が永久歯胚の形成に必ずしも影響を与えるとはいえないことを示唆している。以上より,低年齢児の外傷において再植に適した条件が揃っている場合は,保護者への十分なインフォームドコンセントを行った上で,乳歯脱臼症例の処置法として再植を選択肢に含めてもよいのではないかと考える。

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© 2009 日本小児歯科学会
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