小児歯科学雑誌
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臨床
上顎前歯部に3本の過剰歯と下顎中切歯に双生歯を認めた1例
双生歯の分割および咬合誘導
福永 敏美松村 誠士玉川 秀樹仲村 有香保富 貞宏下野 勉
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キーワード: 過剰歯, 双生歯, 分割, 咬合誘導
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2010 年 48 巻 1 号 p. 90-95

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抄録

小児歯科臨床において,歯数の異常や歯の形態異常に遭遇することは少なくない。歯数の異常や歯の形態異常は歯列,咬合に影響を与え,機能的,審美的にも問題を生じることが多い。形態異常である双生歯は「正常歯と過剰歯の歯胚が1 つに融合したもの」と定義されている。双生歯が歯列不正や機能障害,審美障害の原因になっている場合,歯冠の形態修正,正常歯と過剰歯との分割,歯列への誘導などの処置を行う必要がある。そこで,正常歯と過剰歯の結合の状態,各々の歯髄の状態,スペースの有無など,総合的に検査し,双生歯に対する処置方法を選択,治療計画をたてることが重要である。今回,上顎前歯部に3 本の過剰歯および下顎右側中切歯と過剰歯との双生歯を呈する極めて稀な症例に遭遇した。双生歯はCT 撮影により下顎右側中切歯と過剰歯の歯髄が各々独立していることが確認されたため,下顎右側中切歯の歯根完成を待ち,下顎右側中切歯と過剰歯を分割して過剰歯の抜歯を行った。下顎右側中切歯は生活歯髄のまま保存することができ,さらに歯列への誘導を行うことによって機能的にも審美的にも良好な口腔内環境に導くことができたので報告する。

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© 2010 日本小児歯科学会
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