小児歯科学雑誌
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臨床
下顎第二小臼歯先天欠如に対する下顎第二乳臼歯 段階的分割抜去を伴う連続抜去法の応用
山本 健也山本 友絵鈴木 純一
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2011 年 49 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

両側下顎第二小臼歯の先天欠如を有する女児の歯列改善に,以下のような下顎第二乳臼歯の段階的分割抜去を取り入れるとともに,連続抜去法を応用した。8 歳8 か月時に両側下顎第二乳臼歯の遠心面をスライスカット,8 歳9 か月時に両側下顎第二乳臼歯の遠心部分のみ分割抜去した。下顎第一大臼歯が近心に移動し,下顎第二乳臼歯近心部分に近接した10 歳2 か月より,下顎左側および下顎右側第二乳臼歯の近心部分,上顎左側および上顎右側第一小臼歯を2 週毎に順次抜去した。その後は定期的に経過観察しているが,13 歳6 か月までに先天欠如部の空隙は閉鎖し,ほとんど自動的な歯の移動による歯列改善ができた。永久歯の歯冠近遠心幅径が大きかったため下顎第二乳臼歯の抜去が可能となったが,下顎第一大臼歯の近心傾斜を抑える目的で,下顎第二乳臼歯を一度に抜去せず,スライスカットから分割抜去という手順を踏んだ。また,下顎第二大臼歯萌出以降に先天欠如部の空隙閉鎖が完了したことから,両側下顎第三大臼歯の存在が空隙閉鎖へ有利に働いたものと考えられた。本症例は成長発育途上にあり,今後も慎重に経過観察する必要はあるが,本方法は装置装着などの患者負担を軽減でき,かつ,簡便な方法と考えられた。

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© 2011 日本小児歯科学会
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