2015 年 53 巻 1 号 p. 54-59
病診連携のさらなる向上を図ることを目的として,2012 年1 月1 日から2013 年12 月31 日までの2 年間に歯科診療所あるいは一般病院からの診療情報提供書あるいは紹介状を持参して本学小児歯科外来に来院した初診患者(男児550 名,女児402 名の計952 名)について集計・分析を行った。その結果,1 .紹介患者年齢は,7 歳代が最も多く,0 歳代から8 歳代が約8 割を占めていた。2 .紹介元施設の多くが歯科診療所であり,9 割以上であった。3 .年齢別紹介理由では0~6 歳では齲蝕が多く,7 歳以上では萌出の異常が多かった。4 .地域別紹介内容では,齲蝕は近隣からの紹介が多く,萌出の異常は遠方からの紹介が多かった。外傷は地域による差は認められなかった。5 .地域別紹介年齢では,12 歳以下では地域による差は認められなかったが,13 歳以上では地域差が多く認められた。これらの結果から,紹介年齢や紹介理由には地域による差が認められ,その傾向は2002 年と2008 年の当科の報告と異なっていた。このことからも,当科が求められている状況を素早く把握するとともに,近隣歯科医院との綿密な連携を行うことが,歯科大学病院小児歯科として今後も重要であると考えられた。