都心に位置する大学病院小児歯科の近年の口腔軟組織疾患の傾向を知ることを目的として,2010年4月から2016年3月までの6年間に,口腔軟組織疾患を主訴に当科を受診した0歳から15歳未満の315名の初診患者について実態調査を行った。
1.口腔軟組織を主訴に受診した初診患者の割合は6.8%であった。
2.性別は,男児181名,女児134名であった。
3.初診時年齢は,6歳が最も多く,平均年齢は4.7歳であった。
4.紹介の有無は,紹介あり211名,紹介なし104名であった。
5.受診者の居住地域は,東京都23区243名,東京都23区以外26名,他県46名であった。
6.疾患別受診者数は,舌小帯付着異常91名,上唇小帯付着異常58名,粘液嚢胞53名の順に多かった。
7.初診時の対応は,経過観察263名,処置37名,他科依頼15名であった。舌小帯付着異常の患者は6歳が最も多く,処置年齢ならびに言語聴覚士への依頼年齢はともに5歳が最も多かった。上唇小帯付着異常の患者ならびに処置年齢は7歳が最も多かった。粘液嚢胞の患者は1歳から8歳の幅広い年齢層でみられ,処置年齢は5歳から7歳に集中していた。口腔軟組織疾患を主訴に受診する患者は低年齢児にも多く,早期に精査し介入の有無を判断する必要がある。大学病院小児歯科として,地域医療機関ならびに病院内の関連診療科と連携し対応する必要がある。