小児歯科学雑誌
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原著
学童期における口腔清掃環境とデンタルフロスの使用状況
古川 佑美外山 敬久荒木 麻美中野 崇林 勇輝福田 理
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2019 年 57 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

本研究では,小児期のデンタルフロス(以下フロス)使用率の向上を検討することを目的とし,学童期における口腔清掃環境とフロスの使用状況について質問紙調査を行い,以下の結果を得た。

1 .児童の日常の歯磨き状況はすべて児童本人が磨いている割合が,学年が上がるに従い増加傾向を示した。保護者が仕上げ磨きをしている割合は,1 年生から6 年生へと減少傾向を示した。

2 .全学年で日常的にフロスを使用している者は18.4%であった。学年間での使用率の有意差は認められなかった。

3 .フロスの使用状況は,低学年では保護者が関与している者が半数以上を示し,高学年では自立して使用する傾向がみられた。

4 .フロス使用のきっかけは,歯科医療関係者からのすすめによるものや,保護者あるいは家族の使用の有無に関連していた。

5 .児童の歯科医療機関との関わりは,全学年で65%以上が定期的に歯科医院を受診しているものの,高学年になるに従って齲蝕の発生を機に歯科医院を受診する割合が高くなる傾向がみられた。

以上より,学童期は今後の口腔衛生習慣に対する意識の構築時期として重要な時期であり,保護者が管理する幼少期から低学年ごろまでにフロス使用の習慣が定着できることが望ましく,指導の対象を保護者および家族に対しても行うことが子どもの使用の契機になると考えられた。

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© 2019 日本小児歯科学会
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