2020 年 58 巻 1 号 p. 17-22
上顎大臼歯部に過剰歯2歯と第四大臼歯を認めた女子の1例を経験したのでその概要と臨床経過を報告する。
患児は以前当科を受診していたが,近医で撮影したエックス線写真にて,臼歯部に過剰歯の存在を指摘され当科に来院した。初診時年齢は15歳8か月でHellmanの咬合発育段階はⅣA期を呈し,Angleの分類はⅠ級であり,前歯部に軽度の叢生がみられた。上顎左側第二大臼歯頰側には過剰歯の歯冠の一部が口腔内に萌出し,歯冠は小臼歯様形態であった。デンタルエックス線写真とパノラマエックス線写真では,両側の上顎第二大臼歯部に過剰歯が確認でき,上顎左側臼歯部には第四大臼歯の存在が確認できた。コーンビームCTによる三次元的な精査では,過剰歯は第二大臼歯の近心頰側に位置し,順生の過剰歯であることが確認できた。初診より3か月後に過剰歯による大臼歯の齲蝕誘発を考慮して過剰歯の抜去を行った。第四大臼歯は経過観察としたが,引き続き咬合管理を含めた口腔内管理を行う必要がある。