小児歯科学雑誌
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原著
  • 秋友 達哉, 浅尾 友里愛, 岩本 優子, 中野 将志, 渡辺 聖子, 達川 伸行, 光畑 智恵子, 香西 克之
    原稿種別: 原著
    2020 年 58 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル 認証あり

    第三次医療機関における乳歯齲蝕罹患状態を分析することを目的として,2018年度に齲蝕治療を主訴に本院小児歯科(以下:当科)を初診来院した未就学齲蝕有病児118名を調査し,以下のような結果を得た。

    1.患児は男児61名,女児57名と男女比は約1:1であった。年齢別では5歳児が32名(27.1%)と最も多かった。最年少は1歳4か月,最年長は6歳10か月,平均年齢は4歳4か月だった。

    2.歯種別齲蝕罹患状態を分析すると,乳臼歯の齲蝕罹患率が高く,下顎前歯部は顕著に健全歯の割合が高かった。上下顎乳臼歯で比較すると,下顎のほうが齲蝕を多く認め,重症度も高かった。

    3.患児1人あたりのdmf歯数は8.8本であった(dmfにおけるdはC2以上とした。)。

    4.「乳歯齲蝕の重症度分類」によって患児を分類したところ,Ⅲ度【C3を有しており,3ブロック以上にC2以上の齲蝕を認める】が38名(32.2%)と最多であった。

    5.「重度」と定義したⅢ度以上と分類されたものが72名(61.0%)であり,患児の半数以上が【3ブロック以上にC3を含む複数の齲蝕を有している】もしくは【C4または齲蝕による早期喪失歯を有している】状態であった。

    6.歯口清掃習慣について調査すると,デンタルフロスの使用有無と齲蝕重症度に有意差を認めた(p<0.05)。

    7.患児の飲み物・間食について調査したところ,「ジュース」・「乳酸菌飲料」・「チョコレート」・「キャンディ」が多く,全体として齲蝕リスクの高いものを摂取していた。

症例報告
  • 西村 貴子, 池田 まりあ, 三上 優, 林 久恵, 谷口 真結子, 篠永 ゆかり, 阿部 洋子, 原田 京子, 有田 憲司
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 58 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル 認証あり

    先天梅毒は,梅毒に罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播される感染症で,出生から生後2年までの発症を早期先天梅毒,生後2年以降の発症を晩期先天梅毒と区別される。先天梅毒は永久歯の異常との関連が知られているが,乳歯の異常が関連するか否かは不明である。われわれは初診時年齢3歳3か月の早期先天梅毒例を経験し,歯科学的に分析を行った。

    患児は,未治療梅毒感染状態の母から早産,低出生体重児,仮死状態で出生した。出生時に神経梅毒合併先天梅毒と診断され,PCGが10日間投与された。また出生後より梅毒性天疱瘡と肝炎を認め,全身状態は非常に不良であったが,急性期を過ぎてから安定し,1歳4か月時に小児科のフォローは終了していた。

    初診時の口腔内状態はHellmanⅡA期,Aはすでに欠損,Bは近心傾斜し歯根露出を認めたため抜去した。4歳0か月時にはAとBが歯根露出していたため抜去した。また4歳9か月時にはAが自然脱落したことを確認した。

    乳歯歯冠近遠心幅径は全歯が-2S.D.~-7S.D.と小さく特異な形態を呈していた。抜去したBの病理組織検査では,切端部にエナメル質減形成,歯髄の石灰化変性および歯根部の吸収像が認められた。

    本症例においてみられた全乳歯の矮小化,エナメル質減形成および乳前歯の根尖性歯周炎による早期脱落は早期先天梅毒の合併症である可能性が示唆された。

  • 加藤 那奈, 後藤 恵理奈, 山田 美保, 落合 宏子, 谷田 幸代, 森山 敬太, 正村 正仁, 大須賀 直人
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 58 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル 認証あり

    上顎大臼歯部に過剰歯2歯と第四大臼歯を認めた女子の1例を経験したのでその概要と臨床経過を報告する。

    患児は以前当科を受診していたが,近医で撮影したエックス線写真にて,臼歯部に過剰歯の存在を指摘され当科に来院した。初診時年齢は15歳8か月でHellmanの咬合発育段階はⅣA期を呈し,Angleの分類はⅠ級であり,前歯部に軽度の叢生がみられた。上顎左側第二大臼歯頰側には過剰歯の歯冠の一部が口腔内に萌出し,歯冠は小臼歯様形態であった。デンタルエックス線写真とパノラマエックス線写真では,両側の上顎第二大臼歯部に過剰歯が確認でき,上顎左側臼歯部には第四大臼歯の存在が確認できた。コーンビームCTによる三次元的な精査では,過剰歯は第二大臼歯の近心頰側に位置し,順生の過剰歯であることが確認できた。初診より3か月後に過剰歯による大臼歯の齲蝕誘発を考慮して過剰歯の抜去を行った。第四大臼歯は経過観察としたが,引き続き咬合管理を含めた口腔内管理を行う必要がある。

  • 竹安 美彩, 達川 伸行, 角 奈央, 秋友 達哉, 浅尾 友里愛, 岩本 優子, 光畑 智恵子, 香西 克之
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 58 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル 認証あり

    高IgE症候群(high IgE syndrome:HIES)は,皮膚膿瘍,肺炎,アトピー性皮膚炎および血清IgEの高値を主徴とする免疫不全症である。歯科領域では乳歯の脱落遅延が特徴的所見である。今回われわれは,乳歯が晩期残存し,顎骨中で後継永久歯の歯根形成が完成間近であったHIESの患児症例を経験したので報告する。

    本症例では,通常牽引が検討される後継永久歯に対し,残存乳歯の抜去を行うことで自然萌出が認められた。適切な時期に先行乳歯を抜去することで,後継永久歯の自然萌出の可能性が示唆された。

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