小児歯科学雑誌
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症例報告
全乳歯に形態および形成異常を認めた早期先天梅毒の1例
西村 貴子池田 まりあ三上 優林 久恵谷口 真結子篠永 ゆかり阿部 洋子原田 京子有田 憲司
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2020 年 58 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

先天梅毒は,梅毒に罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播される感染症で,出生から生後2年までの発症を早期先天梅毒,生後2年以降の発症を晩期先天梅毒と区別される。先天梅毒は永久歯の異常との関連が知られているが,乳歯の異常が関連するか否かは不明である。われわれは初診時年齢3歳3か月の早期先天梅毒例を経験し,歯科学的に分析を行った。

患児は,未治療梅毒感染状態の母から早産,低出生体重児,仮死状態で出生した。出生時に神経梅毒合併先天梅毒と診断され,PCGが10日間投与された。また出生後より梅毒性天疱瘡と肝炎を認め,全身状態は非常に不良であったが,急性期を過ぎてから安定し,1歳4か月時に小児科のフォローは終了していた。

初診時の口腔内状態はHellmanⅡA期,Aはすでに欠損,Bは近心傾斜し歯根露出を認めたため抜去した。4歳0か月時にはAとBが歯根露出していたため抜去した。また4歳9か月時にはAが自然脱落したことを確認した。

乳歯歯冠近遠心幅径は全歯が-2S.D.~-7S.D.と小さく特異な形態を呈していた。抜去したBの病理組織検査では,切端部にエナメル質減形成,歯髄の石灰化変性および歯根部の吸収像が認められた。

本症例においてみられた全乳歯の矮小化,エナメル質減形成および乳前歯の根尖性歯周炎による早期脱落は早期先天梅毒の合併症である可能性が示唆された。

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© 2020 日本小児歯科学会
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