小児歯科学雑誌
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原著
口唇閉鎖力,舌圧と口腔形態との関連についての検討 ―第一報 歯列模型の三次元データの応用―
坪川 茉莉田上 千沙子浅里 仁山本 龍生木本 茂成
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2020 年 58 巻 2 号 p. 39-48

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抄録

本研究は成人期前期における口唇閉鎖力,舌圧の測定値と歯列模型の三次元スキャンデータより,口腔の機能と形態の関係を検討し,評価手法を検討することを目的としている。

歯列の健全な若年成人102名(男性62名26.2±3.3歳,女性40名24.4±3.6歳)を対象とした。事前に研究内容を説明し,同意を得た対象者に口唇閉鎖力と舌圧の測定を行い,上下顎歯列模型を採得した後,模型の三次元的形態計測を行った。口唇閉鎖力,舌圧の測定値と得られた三次元データにおける各々の模型計測値との相関,各測定値の男女差,模型計測値について検討した。

その結果,口唇閉鎖力と舌圧には相関があり,男性においては,舌圧と両側上顎第一大臼歯咬頭間距離,口蓋側歯頸部間距離に有意な正の相関が認められた。また,舌圧,口唇閉鎖力,上顎の第一小臼歯口蓋側最深部距離,第二大臼歯歯間距離,第一大臼歯歯間距離,口蓋深さ,口蓋容積,口蓋表面積に有意な男女差を認めた。

歯列模型の三次元データにより,成長が終了し歯列咬合が安定した成人期前期において口蓋の容積を含めた詳細な計測が可能であった。今後は幼児期・学童期を対象とした研究を継続する予定である。

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© 2020 日本小児歯科学会
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