2022 年 60 巻 3 号 p. 135-140
上顎右側臼歯部に臼傍歯を認めた症例を経験したので,その概要と臨床経過を報告する。
初診時年齢12歳1か月の女児。近医で定期的な検診を受けていたところ,上顎右側第一大臼歯の萌出遅延および過剰歯の存在が疑われたため紹介来院となった。口腔内診察より上顎右側に萌出途上の大臼歯を認め,Hellmanの咬合発育段階はⅢB期であった。パノラマエックス線写真より,上顎左右側の大臼歯は1歯のみで,それ以外の大臼歯の歯胚を認めなかった。上顎右側第二乳臼歯と大臼歯間の頰側に認めた過剰歯を疑う像は,歯科用コーンビームCTによる三次元的な精査によって,大臼歯とは独立した臼傍歯であることがわかった。臼傍歯は上顎右側大臼歯の萌出を妨げている可能性があり,咬合に機能することが期待できないこと,齲蝕を誘発する可能性があることを考慮し,抜歯を行った。また抜去した臼傍歯を組織学的に検討したところ,臼傍歯は隣接した大臼歯と同時期に形成された可能性が高いことが示唆された。