2024 年 62 巻 3 号 p. 70-76
口腔マイクロバイオームは時間の経過とともにその組成が大幅に変化し,幼児期に定着する口腔マイクロバイオームはわずかであることが報告されている。そこで,本研究は,子供とその主な養育者である母親8組を対象とし,小児期における子供と母親の口腔環境の相互影響に関する要因の検討を行った。16S rDNA-クローンライブラリー法にて口腔細菌叢の解析を行ったところ,子供,母親ともにStreptococcus属が最も高い割合で検出され,Streptococcus属,Veillonella属,Fusobacterium属,Schaalia属は子供と母親ともに対象者全員から検出された。検出されたそれぞれの細菌の属について,子供と母親の口腔内の細菌の属の存在率を比較するためにMann-WhitneyのU検定を行ったところ,子供と母親で存在率に有意な差はみられなかった。さらに,検出された子供の口腔細菌の属を目的変数,子供および母親の年齢,子供の性別,分娩様式,母親の口腔細菌の属,母親のDMFT指数,子供および母親の1日の歯磨きの回数を説明変数として単回帰分析を行った。検出された口腔細菌の属のうち,Rothia属に関して,子供の口腔内のRothia属の存在率に,母親のDMFT指数が有意に影響を与える因子であることが示唆された。