小児歯科学雑誌
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多くの過剰歯を伴ったCleidocranial dysostosisの1例
広瀬 永康野原 義弘桑原 誠一馬場 弘朝倉 恒夫長岡 知之後藤 俊文
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1981 年 19 巻 1 号 p. 106-114

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抄録

今回本学小児歯科に齲蝕治療を主訴として来院した10歳5カ月の男児にX線写真診査を行った結果,多数の過剰歯,永久歯の萌出遅延,鎖骨の一部欠如を認めたので本症を疑い,その他の必要な検査を行ってCleidocranial dysostosisと診断し,次のような所見を得た。
1)口腔内所見乳歯の晩期残存,永久歯の萌出遅延,狭く高い口蓋,前歯部での反対咬合を認めた。
2)X線所見両側鎖骨の一部欠如,頸椎の癒合不全,頭蓋縫合の開大,頭蓋冠の肥厚,筋突起の形態異常,下顎角の鈍化,過剰歯を認めた。
3)頭部X線規格写真および分析下顎骨体の前方へのRotationによると思われる前歯部反対咬合を認めた。
4)咀嚼筋(側頭筋,咬筋)機能診査所見一部の全身疾患のように筋機能に影響をおよぼしているような所見は認められなかったが,乳歯の多数歯喪失,永久歯の萌出遅延によると考えられる咀嚼筋のCo-ordinationpatternの乱れが観察され,それを改善するための小児義歯は効果が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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