小児歯科学雑誌
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乳歯側方歯唇・頬面の傾斜について
高野 博子吉田 昊哲鈴木 千枝子町田 幸雄
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1981 年 19 巻 1 号 p. 122-127

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抄録

乳歯人工歯排列の基準設定に関する研究の一環として今回乳歯側方歯すなわち,乳犬歯,第1乳臼歯および第2乳臼歯の唇・頬面の傾斜角度を測定した。
資料は,歯科口腔診査の結果正常咬合を有すると診断された3歳児の石膏模型109例である。
計測に先立ち,両側第2乳臼歯近心頬側咬頭頂および左側乳中切歯切端の3点を含む平面を咬合平面とし,咬合平面と模型基底面が平行となる規格模型を作製した。規格化された上下顎模型を歯列前方部より同一条件下で規格写真撮影を行った。次いで引伸し,焼付した印画紙上で唇・頬面外郭線の中央の1点を含む接線と咬合平面に平行な線,すなわち模型基底面が接する模型台前縁の線を記入し,これらが交わってできる角度を乳歯側方歯の唇・頬面の傾斜角度として計測した。
その結果,上顎における傾斜角度の平均値は70度前後でほぼ平行に近いことが判明した。これに対し下顎における傾斜角度の平均値は,乳犬歯で約70度で最も大きく,第1乳臼歯約55度,第2乳臼歯約49度と後方になるに従い移行的に傾斜角度が減少していく傾向が見られた。また傾斜角度には同顎同名歯牙間で有意の正の相関がみられ,左右対称性が強いことも示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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