小児歯科学雑誌
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上下顎乳臼歯部抜去歯咬合面における齲蝕の初発部位ならびに進行方向
荻田 修二山田 知博後藤 邦之村田 格一黒須 一夫
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1981 年 19 巻 1 号 p. 128-135

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抄録
上下顎乳臼歯部の抜去乳歯,D:98歯,E:103歯,D:67歯,E:73歯,合計341歯を用いて咬合面の齲蝕初発部位およびその進行方向について検討を行なった。その結果;
1)上顎第1・2乳臼歯および下顎策1乳臼歯の咬合面における齲蝕初発部位は遠心小窩付近であった。下顎第2乳臼歯では近心小窩および舌側溝小窩付近であった。
2)齲蝕の進行は近遠心的に走向する溝より頬舌的に走向する溝の方が速く拡大していた。
3)齲蝕の進行方向は次の通りであった。
(1)上顎第1乳臼歯:遠心小窩付近に初発した齲蝕は遠心溝の頬側部,舌側部,中央溝の遠心部,遠心咬合縁溝と拡大し,同じ頃近心溝の頬側先端部にも齲蝕が発生していたが,比較的限局していた。
(2)上顎第2乳臼歯:遠心小窩付近に初発した齲蝕は遠心舌側溝の舌側部,頬側部の順に進み,同じ頃中央小窩,近心咬合縁溝小窩にも齲蝕が発生し,頬側溝,中央溝,近心咬合縁溝に沿って拡大していた。
(3)下顎第1乳臼歯:遠心小窩付近に初発した齲蝕は舌側溝,遠心咬合縁溝,頬側溝に沿って進み,近心小窩付近では限局していた。
(4) 下顎第2 乳臼歯: 近心小窩, 舌側溝小窩に初発した齲蝕は近心咬合縁溝, 舌側溝,遠心頬側溝,中央溝などに沿って咬合面全体に拡大していた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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