小児歯科学雑誌
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乳歯列下顎前突出症の形態と機能との関連性についての研究
柴崎 貞二塩野 幸一吉元 辰二杉本 友夫小椋 正
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1981 年 19 巻 1 号 p. 82-94

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抄録

乳歯列下顎前突の形態と機能との関連性を追求し,咀嚼筋の機能分析値を診断の一助とすべく,本研究を行なった。
被検児は,Hellmanの咬合発育段階IIAの幼児14名であり,SNAが80.0゜ 以上の症例を選択した。対照として,いわゆる正常咬合を有する同様な発育段階の幼児14名を用いた。
筋電図は,左右両側の側頭筋前部(TA)側頭筋後部(TP),および咬筋浅部(M)から記録した。これを測定して,最大振幅電位,_??_値および_??_値, さらに全体の百分率であるTA%,TP%,M%を算出した。これらのEMGの分析値を対照群と比較するとともに,セファロ分析値との相関性を検討した結果,以下の結論を得た。
1.下顎前突児群において,下顎の前後的位置を示すSNB,SNPの値は_??_値およびTP%と負の,TA%と正の相関がみられた。一方正常咬合児群においては,下顎前突児群のそれらとは全く逆の関係がみられた。
2.SNPと_??_値あるいはTP%との間における下顎前突児群と正常咬合児群の回帰直線の交点におけるSNPは77-8゜ であり,下顎前突症のSNPが,この値よりも大きな値をとれば,それだけ予後不良と考えられる。
.Mは下顎の前後的位置決定に働くのではなく,上下顎関係の適正な位置で最も強く働くと考えられる。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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