小児歯科学雑誌
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Histiocytosis X (Letterer-Siwe病,Hand-Schuller-Christian病)の2症例について
小椋 正柴崎 貞二前田 隆秀蕪木 彰松本 好政深田 英朗
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1981 年 19 巻 1 号 p. 71-81

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抄録

HistiocytosisXは,1953年,Lichtensteinにより,Eosinophilic granuloma ofbone,Hand-Schuller-Christian病,Letterer-Siwe病の3疾患を総称して,そのように呼ぶことを提唱して以来,この3つは同系統の疾患であると考える説が現在もっとも支持されている。これらの疾患についての報告は,本邦でも,皮フ科,小児科,内科等の領域から多数の報告がみられるが,歯科領域においても,歯牙の動揺,脱落及び歯肉の腫脹などを主訴として来院した症例の報告も少なくない。
今回,我々は,Letterer-Siwe病と診断された13歳2カ月の男児と,Hand-Schuller-Christian病と診断され,長期間経過観察した11歳6カ月の女児,2症例についての歯科的所見がいくつか得られた。
1)Letterer-Siwe病の上顎骨は極度に吸収していたが,下顎骨は上顎骨と比較して軽度であった。
2)Letterer-Siwe病もHand-Schuller-Christian病も,歯牙の動揺,脱落,歯肉炎などが著明に認められた。
3)Hand-Sehuller-Christian病の4歳9カ月時と,11歳6カ月時を比較すると,上下顎骨共に歯槽骨,及び骨体の吸収が進行していた。
4)4歳9カ月の頭蓋及び肋骨にあった骨の吸収,又は破壊像は11歳6カ月時には消失していた。
5)Letterer-Siwe,Hand-Schuller-Christian病共に,口腔内の異常は他の全身的異常と逆行し,口腔内の症状が先行して生ずるように思われた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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