抄録
永久歯の萌出順序を観察するため,3ヵ月毎に採得した1607個の咬合模型で経年的観察を行った.観察症例は正常咬合31症例,不正咬合29症例である.その結果
1)上下顎左右側を含めた28本の永久歯の萌出順序は,全症例においてまったく同一である症例はみられなかった.
2)永久第1萌出歯の出現頻度は,下顎中切歯が46.7%,下顎第1大臼歯が45.0%みられた.
3)第1大臼歯と中切歯の萌出順序では,1→6の型が30.0%,6→6の型が23.3%みられた.
4)切歯群の萌出順序では,1→2→1→2の型が58.3%みられた.
5)上顎側方歯群の萌出順序では,4→3→5の型が38.3%,3→4→5の型が20.0%,→5→6の型が15.0%みられた.咬合別では,正常咬合で4→3→5の型4 が多くみられ,上顎前突,上下顎前突では4→5→3の型がみられず,叢生では4→5→3の型が多くみられた.
6)下顎側方歯群の萌出順序では,3→4→5の型が70.0%みられた.
7)第2小臼歯と第2大臼歯の萌出順序では,第2大臼歯の方が早く萌出するものが,上顎では片側で2.6%みられ,下顎では片側で13.6%,両側で8.5%みられた.