小児歯科学雑誌
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臼歯部充填用K-Gコンボジットレジンの乳臼歯への応用について(第1報)
脱アマルガム材料として
菊池 進上杉 滋子杉山 久関本 恒夫間下 喜一米山 博己野本 克夫
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1982 年 20 巻 1 号 p. 143-150

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抄録

今回新たに開発された臼歯部充順用K-Gコンポジットレジン(TMM-Si3N4:鐘紡社)は,Bis-GMA系コンポジットレジンとは全く異なる構造をもち,アマルガムに匹適する機械的強度と歯質接着性を有する臼歯部充填川コンポジットレジンである.著者らは,日本歯科大学付属病院小児歯科診療室に来院した70名,乳臼歯105例にK-Gコンポジットレジンを充填し,2~5ヵ月の充填物の臨床的観察を行い,次のような結果を得た.
1.窩洞形態別不快事項発現歯数は,窩洞総数105例のうち22例(21.0%)に認められた.
2.充填物の不快事項は17例(16.0%)認められ,そのうち辺縁破折,体部破折,脱落が大半を占めていた.
3.充填物の磨耗は1級単純窩洞に16例中1例認められ,I 級複雑窩洞及びII 級窩洞には認められなかった.
4.充填物の間隙および変色は1例も認められなかった.
5.歯質の不快事項は6例(5.7%)に認められ,二次カリエスが大半を占めていた.
6.歯髄・歯肉の不快事項は4例(3.8%)認められた.
このような結果から,K-Gコンポジットレジンは,従来のアマルガムが持つ欠点を補い乳臼歯の充填材料として高い臨床的価値を持っものと思われる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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