小児歯科学雑誌
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乳前歯部咬合小面の推移に関する形態学的研究
大塚 啓子
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キーワード: 乳歯列, 咬合小而, 咬耗
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1982 年 20 巻 1 号 p. 81-96

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抄録
小児の成長発育にともなって生ずる乳歯の咬耗と,乳歯列弓の形態とがどのように関連するのかを追求する目的で,乳歯咬合の初期と,永久歯への交換期に入る直前の乳歯咬合の後期の,二つの時期における咬合小面の増齢的形態変化を検討した.さらに,この二つの時期における乳歯列弓の垂直関係および水平関係との関連性について検討を行った.資料は,乳歯列期の正常咬合を有する小児50名より採得した経年歯列石膏模型である.その結果,次のような結論を得た.
1.基準咬合小面の出現頻度は,経年的に増加し,上顎乳犬歯の近心切縁,遠心切縁,下顎乳犬歯の近心切縁,遠心切縁に有意の差が認められた.
2.基準咬合小而の面積は,経年的に増加し,それらの面積変化は,歯冠形態の相違,筋出位置の状態,萌出順序などが関係していると思われた.
3.咬合小面の出現頻度,面積,歯冠長径および歯冠長径の減少量には左右差は認められなかった.
4.乳歯列弓の水平変化は,下顎乳犬歯の咬耗と関連があることが明らかとなった.
5.下顎乳犬歯の咬耗の様相を観察することによって, 乳歯列の咬合状態を判定する目安となり,永久歯列との関連も予測できるものと考えられる.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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