小児歯科学雑誌
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Cryingが血液ガスに及ぼす影響
松本 好政前田 隆秀鈴木 克美武井 謙司高梨 登高橋 勉小倉 孝夫國分 正廣赤坂 守人深田 英朗
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1982 年 20 巻 1 号 p. 96-101

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抄録
歯科疾患を有しているにもかかわらず,非協力児や精神発達遅滞児などの心身障害児は,取り扱い上の困難性から通法下では,必要な治療が確実かつ安全に十分行なわれない事が多い.現在,Foxがmanegementの手段として,最後に提唱した全身麻酔を用いた集中歯科治療が多く導入され,守備範囲を拡げている.
一方,これら心身障害児は,全身麻酔を適応するにあたり,通常児と異なり,種々な合併症を伴うことが多く,より細心な患者管理を要する.著者らは,術前・術中・術後の管理の一つである呼吸動態を動脈血ガス分析を用い評価している.しかし,術前及び術後における採血時に,しばしば患児が興奮・号泣などの情動変化を示すことが多く,その結果,呼吸数・一回換気量が変化し,分析値をそのまま患児のsteadyな状態が反映していないと思われる症例に遭遇することが多い.
そこで今回著者らは,興奮及び号泣による換気変化が,どの程度血液ガスに影響を与えるかを知る目的で,全身麻酔下集中歯科治療を行なう患児のうち,呼吸器・循環器疾患を有さない精神発達遅滞児33名を対象とし,術前検査時の,動脈血採血前・採血時における呼吸数・一回換気景・興奮及び号泣の度合により3群に分類し,統計処理をしたところ興味ある2~3の知見を得たので報告した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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