小児歯科学雑誌
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接着性コンポジットレジンClearfilの臨床的観察
黒須 一夫山田 正弘加藤 正憲松村 祐堀田 大介
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1982 年 20 巻 2 号 p. 271-280

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抄録
乳前歯239歯・乳臼歯258歯の計497歯に, 接着性コンポジットレジンClearfil Bond System F type・SC typeそれぞれ328例,169例を充填し, 最長3年3ヵ月まで臨床的観察を行なった結果, 次の様な結論を得た.
1. 全般的な臨床成績は,F typeが良好72.2%, 不良9.8%, 脱落18.0% であった.SC typeは, 良好83.4%, 不良10.7%, 脱落5.9% であり,F typeよりもSC typeの方がやや良好な成績であり, 特に脱落が減少していた.
2. 辺縁の形態では, 両typeともbeve1型が最も良好であった.
3. 歯肉窩縁の位置については, 両typeとも歯肉縁下窩洞の方が不良例, 脱落例が増加し,F typeでは特に著しかった.
4. 覆髄の有無の関係では,F typeは無覆髄群で不良, 脱落が明らかに減少した.
5. 両typeとも臨床症状はほとんど認められなかった.
6. 両typeとも乳前歯部に比べ, 乳臼歯部の方が良好な成績であり, 特にF typeでこの傾向が著しかった.
7. 臨床成績を向上させるためには, 窩洞辺縁にbevelを付与し, かつ歯肉縁上に窩洞を形成することが望ましいことがわかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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