小児歯科学雑誌
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20 巻 , 2 号
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  • 河田 照茂, 山口 和憲, 山下 訓
    1982 年 20 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科矯正患者および小児歯科患者を齲蝕から守ることは非常に意義深いことである.近年,矯正科および小児歯科の分野においては材料開発にも優れた進歩を遂げつゝある.
    しかし,矯正装置の中のバンドや小児歯科の治療におけるクラウンなどの合着時には市販の歯科用セメントが使用されている.矯正医達は矯正治療中に矯正装置によると思われる歯の齲蝕を発見することがある.また, 小児歯科医達は処置歯の2次カリエスを発見するということもある.
    本研究では歯科用セメントが咬合圧や外力に対してより一層強度を増し, 歯を2次カリエスなどから予防することを目的として行った.用いた材料は,市販の歯科用セメントとハイドロタルサイトである.ハイドロタルサイトは多くの無機物質を含んでいて,イオン結合反応に富んだ物質としてよく知られている.このイオン結合力をセメントの硬化促進に役立てようと考えた次第である.多くの市販セメント中でユニデントとハイドロタルサイトとの親和性が非常に優れていることがわかった.ユニデントとハイドロタルサイトとの混和されたセメントは他の歯科用セメントと比較して約2倍の強度を示した.ハイドロタルサイトの混合比を種々変えて強度テストをこゝろみた.また,レーザー・ラマン・スペクトル分析をもこゝろみた.
    その結果,セメント粉末1.9g中にハイドロタルサイトを0.1gから0.5gまで5種類に分けて混和したところ, ハイドロタルサイト量の増加に伴ってその強度を増すことがわかった.そして, ハイドロタルサイトを0.4g 含むセメントが最も硬く, その強度は市販セメントの約2倍を示した.また,レーザー・ラマン・スペクトル分析の結果からもハイドロタルサイトを多く含むセメント中には,ハイドロタルサイト中のアルミニューム,マグネシウムなどの金属イオンがセメントとよく親和していることがみられた.
  • 福田 理, 佐藤 エミ, 保澤 静, 土屋 友幸, 黒須 一夫
    1982 年 20 巻 2 号 p. 246-252
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は歯科治療時に小児が示す不適応行動を規定する心理学的要因を検索することを目的とした.
    すなわち,4歳から8歳までの42人の小児を窩洞形成時に示す行動から, 治療適応児, 治療不適応児の2群に分類し, 両群の小児の性格, 両親の養育態度を比較検討し, 以下の結果を得た.
    1.小児の性格は治療不適応児が治療適応児に比して「情緒安定」を除く全ての項目で低いパーセンタイル得点を示し, いわゆる, 不良な性格特性を示していた.
    2. 歯科治療時の不適応行動と関連する小児の性格特性は「自主的」「学校(幼稚園)への適応」「社会的安定」の3項目が検出できた.
    3. 両親の養育態度のうち,母一子関係では全ての項目で治療不適応児が治療適応児に比して不良な養育態度を示した.
    4. 歯科治療時の不適応行動と関連する親の養育態度は母親における「矛盾型」が検出できた.
  • 内上堀 征人, 木村 光孝, 森高 久恵, 古野 忠敬, 山口 透, 永山 武彦, 松山 道孝
    1982 年 20 巻 2 号 p. 253-263
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,部分的無歯症, 低汗, 萎縮性鼻炎およびアトピー性皮膚炎を伴った先天性外胚葉異形成と診断された, 初診時6歳11ヵ月の男児において, 歯科領域に現われた症状の観察ならびに分析を行い, 歯科治療を施しながら8歳7ヵ月時まで経過観察を行った結果, 次のような結論を得ている.
    1 . 乳歯は〓, 永久歯では〓の先天的欠如が認められた.
    2 . 歯冠の形態異常が〓および〓に認められ, 骨年齢がほぼ正常であるにもかかわらず, 永久歯においては萌出遅延および歯根の発育遅延を認めた.
    3. 飯塚および坂本の方法を用いて,頭部X線規格写真の分析を行った結果, 上顎骨の劣成長とともに上下顎骨の相対的発育量の不足が認められた.
  • 武田 泰典, 八幡 ちか子
    1982 年 20 巻 2 号 p. 264-270
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    〓が著明に低位に位置して晩期残留し, かつその部の後継永久歯が欠如していたにもかかわらず乳歯根に著しい吸収とankylosisのみられた症例について抜去乳歯の非脱灰研磨標本を作製し, 象牙質と骨組織の関連を中心に組織学的に検索した.患者はスケーリングを希望して来院した18歳の男子で,家族歴,既往歴,歯科所見以外の診査等には特記すべき事項はなかった.
    X線的に後継永久歯が欠如していたにもかかわらず, 残留乳歯のいずれにも歯根の吸収が顕著にみられた.組織学的に象牙質吸収面には結合組織を介さずに骨組織が密接し, しかも両者の境界が不明瞭な部分もあった.さらに, 象牙質と骨組織の境界から離れた象牙質中に骨組織の小塊が散見され, また逆に骨組織中に象牙質小塊が残存する所見もみられた.象牙質吸収面にはodontoclastが認められなかったことより, 象牙質の吸収にはodontoclastの関与しない機序もあることが形態学的に示唆された.
  • 黒須 一夫, 山田 正弘, 加藤 正憲, 松村 祐, 堀田 大介
    1982 年 20 巻 2 号 p. 271-280
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳前歯239歯・乳臼歯258歯の計497歯に, 接着性コンポジットレジンClearfil Bond System F type・SC typeそれぞれ328例,169例を充填し, 最長3年3ヵ月まで臨床的観察を行なった結果, 次の様な結論を得た.
    1. 全般的な臨床成績は,F typeが良好72.2%, 不良9.8%, 脱落18.0% であった.SC typeは, 良好83.4%, 不良10.7%, 脱落5.9% であり,F typeよりもSC typeの方がやや良好な成績であり, 特に脱落が減少していた.
    2. 辺縁の形態では, 両typeともbeve1型が最も良好であった.
    3. 歯肉窩縁の位置については, 両typeとも歯肉縁下窩洞の方が不良例, 脱落例が増加し,F typeでは特に著しかった.
    4. 覆髄の有無の関係では,F typeは無覆髄群で不良, 脱落が明らかに減少した.
    5. 両typeとも臨床症状はほとんど認められなかった.
    6. 両typeとも乳前歯部に比べ, 乳臼歯部の方が良好な成績であり, 特にF typeでこの傾向が著しかった.
    7. 臨床成績を向上させるためには, 窩洞辺縁にbevelを付与し, かつ歯肉縁上に窩洞を形成することが望ましいことがわかった.
  • 有吉 ゆみ子, 林 由子, 二木 昌人, 高田 幸子, 中田 稔
    1982 年 20 巻 2 号 p. 281-289
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月±2週間の幼児799名(男児:414名,女児:385名)に対する歯科健診ならびに母親へのアンケート調査結果にもとづいて,この時点の齲蝕発生に関与する要因の分析を行った.幼児に対する歯科健診の内容は,齲蝕, 口腔清掃状態, 萌出歯数の診査,カリオスタット(三金工業製)値の測定, および身長, 体重の測定である.また母親に対しては, カリオスタット値の測定とともに, 哺乳方法, 間食, 歯磨き習慣, 知っている歯科用語数, などに関するアンケート調査を行った.
    そして, 林の数量化理論第II類の統計的手法を用いて, 幼児の齲蝕の有無を外的基準とする判別分析を行った.
    その結果,1歳6ヵ月児における齲蝕罹患群と健全群との判別には, 口腔清掃, 食習慣,発育, および口腔習癖などの要因が, 強く関与していることが判明した.これらの要因は, 低年齢児に対する歯科衛生指導を行う上で, 最も重視すべき事柄であることがうかがわれた.
  • 林 亮子, 田北 恵子, 浜野 良彦, 中田 稔
    1982 年 20 巻 2 号 p. 290-296
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    電気抵抗値を応用した歯髄診断法と処置の選択法に若干の修正を加え, 臨床応用を行った1年経過例の予後について検討した.
    対象は, 九州大学歯学部附属病院小児歯料外来を訪れた2歳から10歳までの幼小児49名,120歯で,齲蝕が象牙質あるいは歯髄にまで及んでいると, 肉眼的に判断された乳歯を用いた.X線写真撮影後,局所麻酔下でラバーダム防湿を行い, カリエスメーターを用いて電気抵抗値を測定した.測定は軟化象牙質の除去前後に行われたが, 今回は除去後の電気抵抗値について検討を行った.
    全症例120例について, 経過分類ののち, 予後の判定を行ったところ, 予後の判定が可能であった117例中, 良好111例(94.9%), 不良6例(5.1%)であった.
    健全象牙質が存在すると考えられる電気抵抗値18.1KΩ 以上の症例では,39例中1例を除くすべてが良好であった.
    電気抵抗値18.0~14.1KΩ の症例では,18例中水酸化カルシウム断髄を行った2例が不良,FC断髄を行った16例はすべて良好であった.
    電気抵抗値14.0KΩ以下の症例では,抜髄7例中1例(14.3%)が不良,FC断髄53例中2例(3.8%)が不良であった.
    以上の結果から, 齲窩の電気抵抗値を測定することによって,1)露髄の見落としが避けられ,2)健全歯質残存の有無を知ると共に, 歯髄の状態もある程度推測できると思われた.
    したがって, 電気抵抗値の測定は, 臨床上客観性のある診断を行う上で,有効な一手段であると思われた.
  • 堤 脩郎, 増田 典男, 落合 伸行, 斉藤 隆裕, 祖父江 鎮雄, 北村 隆
    1982 年 20 巻 2 号 p. 296-305
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性無舌症は, 遺伝因子あるいは, 妊娠初期の子宮内環境因子に起因し, 発生学的には, 舌原基の第1鰓弓の形成不全によるものと考えられている.
    特に,Hypoglossia-Hypodactylia症候群と呼ばれる舌の先天欠如は四肢の奇形を伴う極めてまれな症例であり, その報告も少ない.我々は, 舌の欠如と心室中隔欠損を呈し臨床所見よりHypoglossia-Hypodactylia症候群と診断された症例について5年間にわたって診察を続けたので報告する.
    患児は, 初診時,3歳2ヵ月の女児で,下顎骨劣成長を主訴として,大阪大学歯学部附属病院を来院し,広汎性齲蝕と咀嚼障害により, 小児歯科を受診した.
    初診時の所見は, 舌体部がほぼ完全に欠如し,下顔面部の著明な劣成長により鳥貌を呈していた.舌の欠如のため, 下顎歯列弓は著しく狭窄し,上顎口蓋部に完全に陥入した状態であった.X 線診査の結果, 〓の先天欠如が認められたが, その他の永久歯胚の成長に異常は認められなかった.齲蝕の処置を行った後,咬合挙上,咀嚼機能および審美性の回復を求めて,上下顎に小児義歯を装着したが, その際狭窄した下顎歯列弓との咬合を得るため, 上顎義歯口蓋側に咬合面を延長した.7歳7ヵ月時の患児の側方頭部X線規格写真分析の結果では,上下顎顔面の成長が認められ, さらに現在, 言語治療により, 口腔底結節が舌の代償を果たし, 咀嚼, 嚥下, 発音ともに著しい改善を示している.
  • 1982 年 20 巻 2 号 p. 307-375
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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