小児歯科学雑誌
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Amelogenesis imperfecta の二症例
関口 基富田 摩美子高文 野夫
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1982 年 20 巻 3 号 p. 458-471

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抄録
amelogensis imperfecta は,遺伝因子によってエナメル質の形成が原発的に障害される疾患である.その遺伝形式に関しては,常染色体性優性および劣性,伴性優性および劣性のすべての形式のものが報告されており,また,それに伴って,表現型としてのエナメル質形成不全も種々の様相を呈することが知られている.
今回,鶴見大学歯学部附属病院小児歯科を訪れた患児で,amelogenesis imperfectaと診断した, 同胞男児2 名および女児1 名の二症例について治療を行ない, その遺伝的背景および臨床所見,ならびに形成不全歯の組織学的所見について,以下のような知見を得た.
1.エナメル質の形成障害は,両例とも,乳歯ならびに既萌出永久歯の全てにわたって出現した.
2.遺伝形式は,症例1では常染色体性優性と考えられたが,症例2では,両親が近親婚であること以外には詳細は不明で,遺伝形式を確定することはできなかった.
3.臨床所見および組織学的所見は,症例1では成熟不全型,症例2では形成不全型のそれに類似する点が多かった.
4.本症では,その表現型が種々な様相を呈するため,それぞれの患児の症状や咬合発育段階に応じて,また身体的,精神的発達に即して,適切な治療を行なうことが重要であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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