小児歯科学雑誌
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髄室を有する乳歯レジン歯と実習用乳歯列模型の試作
小椋 正柴崎 貞二深田 英朗
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1983 年 21 巻 2 号 p. 190-198

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抄録

著者らは,歯冠崩壊がほとんどなく,また根の吸収の少ない下顎左側第二乳臼歯と上顎右側第二乳臼歯から,髄室のある乳歯レジン人工歯を試作した。
この試作したレジン歯の髄室の位置が,天然歯の髄室の位置と一致しているかどうか松井らの報告と比較検討した結果,両者の髄室の位置は,概ね一致していた。
以上の結果から,この試作レジン歯が実習に使えるものと考え,マネキン実習ができる様に,2本の試作レジン歯を植立した乳歯列模型を試作した。この乳歯列模型を使って,マネキン実習が臨床と同様にできて,患者実習をする前の実習として有効であるかどうかを検討した結果,次のような結論を得た。
1.試作した髄室を有する乳歯レジン人工歯を植立した乳歯列模型を用いることによって,マネキン実習において臨床実習とほぼ同様に基礎実習を行うことができる。
2.髄室を有する乳歯レジン人工歯は,歯髄処置(歯髄切断法)の実習のみならず,乳歯のすべての歯冠修復処置の実習にも有効である。
3.髄室を有する乳歯レジン人工歯を使用することによって歯髄処置に際して天蓋の除去時の感覚を,従来のように抜去歯を使用しなくても学生に把握させることができる。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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