小児歯科学雑誌
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無汗型外胚葉異形成症の1症例
高橋 利近柳 治夫高木 慎高松 英也角南 考昭高谷 康男
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1983 年 21 巻 3 号 p. 491-496

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抄録
無汗型外胚葉異形成症は,無汗症,発毛不全および無歯症を3主徴とし,通常,外胚葉性起源の他の組織,器官にも発育不全を伴う疾患であり,伴性劣性遣伝を示すといわれている。従って圧倒的に男性に多く発現し,女性においてその典型的な発症をみることは稀であるが,保因者の女性にも歯の先天性欠如や形態異常,軽度の鞍鼻や部分的な無汗などが現れることがある。
最近,われわれは無汗型外胚葉異形成症による部分性無歯症の1例を経験したので報告する。患者は12歳1ヵ月の女児で,広い前額,口唇の外翻,鞍状鼻などの特徴的な顔貌を呈しており,皮膚の組織検査において汗腺の低形成が認められた。また,永久歯では18歯の先天性欠如がみられ,セファロ分析では上顎骨の劣成長がみられた。処置として義歯により咀嚼,発音および審美的問題の改善を行い,現在尚経過観察中である。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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