小児歯科学雑誌
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フーリエ解析による乳歯列の形態学的研究
反対咬合について
小手 文子上保 一之佐藤 みつ子斎木 隆関本 恒夫坂井 正彦
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1984 年 22 巻 1 号 p. 1-13

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抄録
乳歯列反対咬合の歯列弓,歯槽基底弓の形態について,フーリエ解析の手法を用いて,その平均形態を求め,その特徴を明らかにするとともに正常咬合の歯列弓,歯槽基底弓後の形態と比較をした.さらに反対咬合において矯正治療を行ったものについて,治療前の形態の変化について検討した.資料は正常咬合の乳歯列石膏模型女児50例,前歯部反対咬合の乳歯列石膏模型女児20例で平均年齢は3歳6ヵ月である.その結果,次の結論を得た.
1)反対咬合の歯列弓平均形態の特徴として上顎では第2乳臼歯,乳側切歯遠心部,および乳中切歯中央部に曲線の変異点が認められた.また,下顎では第2乳臼歯,乳側切歯,乳中切歯中央部,乳犬歯と第1乳臼歯の間に曲線の変異点が認められた.
2)歯槽基底弓では,上顎下顎とも第2乳臼歯,乳中切歯の中央部に曲線の変異点が認められ,特に下顎では乳犬歯遠心部にも変異点が認められた.
3)正常咬合と反対咬合では,上顎歯列弓,上顎歯槽基底弓,下顎歯槽基底弓で明らかに形態の相違が認められた.
4)矯正治療の前後では,上顎歯列弓,上顎歯槽基底弓において形態は変化し,正常咬合の形態に近くなった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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