小児歯科学雑誌
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乳歯列完成前後の総合咀嚼器官の発育変化
第2報不正咬合の発現頻度
北村 陽太郎平田 順一大久保 一郎大村 隆司島田 尚範芳賀 定坂田 憲昭成田 寛治大竹 邦明深田 英朗
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1984 年 22 巻 1 号 p. 101-109

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抄録

小児歯科の臨床は,小児の口腔機能を正常に成熟させることにより小児の心身の健康な発育に寄与することである.
口腔機能は,乳歯の萌出が完了しない1歳6ヵ月頃までにその基礎を確立すると言われ,その後に発現する齲蝕,歯周疾患,咬合の異常などは,口腔機能の正常性を阻害する要因として働く.そのため,初期に発現する疾患ほど,口腔機能の発達に影響をおよぼすと考えられる.この時期における齲蝕については多数の報告がなされているが,咬合についての報告は少なくない.そこで口腔機能が成熟する2歳から3歳にかけての咬合の異常の推移についての研究を行った.研究対象は,昭和51年4月より昭和53年3月まで東京都板橋区東保健所管内に在住した横断的対象3856名,経年的対象1270名である.それらの小児について,口腔を診査し以下の結論を得た.
1.不正咬合の発現頻度は,2歳児で49.8%,3歳児42.1%で半数近くに不正咬合が認められた.
2.2歳児,3歳児の不正咬合は,過蓋咬合,前方交叉咬合,開咬,叢生,前方後方交叉咬合,後方交叉咬合の順で多く認められた.
3.2歳児,3歳児の不正咬合の発現頻度の推移を見ると,前方交叉咬合,過蓋咬合は減少し,前方後方交叉咬合は増加した.後方交叉咬合,開咬,叢生は変化が認められなかった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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