小児歯科学雑誌
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乳歯の位置感覚について
飯沼 光生田村 康夫堰口 宗重上浦 美智子吉田 定宏船越 正也
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キーワード: 乳歯, 位置感覚
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1984 年 22 巻 1 号 p. 96-100

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抄録
小児歯科臨床において,小児が疼痛を主訴として来院する場合,往々にして,自分で患歯を明確に示しえないことを経験する.しかし,健全歯別においても,どの歯を刺激されたかを識別する生理的位置感覚について.小児ではあまり報告されていない.
そこで今回,乳歯の位置感覚を明らかにするため,その基礎実験として,乳歯に圧刺激を加え,どの歯が刺激されたと応答するか,その正確度を歯種別に検討を行い,次のような結果をえた.
1)小児の歯の位置感覚の正確度は,近心位ほど高く,遠心に向うに従って低下し,とくに上顎第2乳臼歯は最も低い値を示した.
2)誤答の場合,近心隣接歯を示すことが多かった.
3)上下顎を比較すると,側方歯群では,下顎の方が位置感覚が高い傾向がみられた.
4)同様の実験方法で行われた成人群の結果と比較すると,小児群では各歯種とも正答率が低く,有意(p<0.05)な差が認められた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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