抄録
本研究の対象は,福岡県大野城市において,昭和56年11月から昭和57年10月までに3歳児歯科健診を受けた,3歳1ヵ月±2週間の幼児751名である.これらの幼児に対し,身長,体重の測定,口腔診査,およびカリオスタットを用いた齲蝕活動性試験を行った.また,母親に対しては保育環境,歯口清掃習慣,母親の歯科意識の水準などに関するアンケート調査を行なった.
以上,53個の調査項目に対して,林の数量化理論第I類を用いた統計的分析により,個人齲蝕歯率に関与する要因の分析を行なった.
その結果,3歳児における個人齲蝕歯率には,「子供のカリオスタットpH値」と齲歯数の増加には直線的な関係があることが判明した.そのほか,「乳児期の栄養法」,子供の保育環境に関わる要因,身体的発育を表わす要因などが個人齲蝕歯率の多少に深く関わっていた.これらの要因について,3歳児歯科健診での歯科衛生指導にあたって,保育者である母親に対する重点的な指導が必要と考えられる.