小児歯科学雑誌
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1歳6ヵ月児歯科健診に関する研究
1歳6ヵ月までの食生活と齲蝕罹患との関係(1)
西村 康内村 登長谷 則子檜垣 旺夫
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1984 年 22 巻 1 号 p. 321-332

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抄録
全国9歯科大学・歯学部小児歯科学講座の共同研究として,それぞれのフィールドで診査方法を統一し,1歳6ヵ月児歯科健診および調査を行った.このうち,仙台,横須賀および徳島の3フィールドを取り上げ,乳幼児の食生活,食習慣と齲蝕虫罹患との関係を検討し,つぎの結果を得た.
1)人工乳栄養児はいずれのフィールドでも最も低い罹患傾向を示し,また,不規則授乳群に有病者が多く,フィールドによってはdft値が有意に高かった.
2)離乳期の食餌内容は各フィールドによって異なっていたが,一般に母乳摂取群で高く,牛乳摂取群で低い罹患傾向を示した.
3)生後12ヵ月時点で哺乳ビン使用を中止した例は極めて少なく,哺乳ビン使用者は齲蝕多発傾向にあることが示唆された.
4)1歳6ヵ月時点での食事量の多い群は低い罹患傾向にあった.
5)間食摂取に関しては,時間を決めない群,摂取回数の多い群,決まった場所で摂取しない群などで高い罹患傾向を示したことから,地域性を考慮した上での齲蝕予防指導の指針を確認することができた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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