小児歯科学雑誌
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1歳6ヵ月児歯科健診に関する研究
齲蝕罹患と齲蝕活動性(カリオスタット)の結果
松村 誠士三原 丞二下野 勉祖父江 鎮雄
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1984 年 22 巻 1 号 p. 333-343

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抄録
1歳6ヵ月児歯科健診のあり方を研究する為,全国9地区において1歳6ヵ月児(以下1.5歳児と略)の被験者が3.5歳に至るまで,半年ごと計5回にわたり口腔内検診とカリオスタットによる齲蝕活動性試験を行った-そして被験者の齲蝕罹患状態の変化や,齲蝕活動性の高低による齲蝕発生の予測の可能性について検討した-その結果,
1)1.5歳時より3.5歳時まで増齢的に齲蝕罹患者率は増加した-9地区間の齲蝕罹患者率の巾は,1.5歳時で約18%でその後3.0歳時で約50%と増加し,3.5歳時では約35%と減少した-
2)被験者の平均deft数およびdefs数は増齢的に増加したが,カリオスタットによる齲蝕活動性の判定結果の平均値は,1.5歳時より2.5歳時まで増加し,その後3.5歳時まではほぼ一定となった-
3)カリオスタットの判定結果はdeft数やdefs数と有意な相関性を示した-
4)カリオスタットによる齲蝕発生の予測性について,徳島地区のように,1.5歳時のカリオスタットの判定結果が1.5歳時より3.5歳時までの増加deft数および増加defs数と相関性を認める地区もあり,その有用性が示唆された-
5)1.5歳時のカリオスタットによる齲蝕活動性の判定結果が低くても,1年後の判定結果が高く変化した者は,その程度に応じてその後3.5歳時までの齲蝕歯数が多くなることが示唆された-以上より,カリオスタットによる齲蝕活動性試験の結果はその地区の齲蝕罹患状態を十分に反映すると思われた-
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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