小児歯科学雑誌
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Duchenne型筋ジストロフィー症患者の口腔所見と歯科健康管理計画の提案
松本 晉一森主 宜延大野 英夫
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1984 年 22 巻 1 号 p. 67-75

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抄録

デュシェンヌ型進行性筋ジストロフィー症は症状の進行が早く,顎顔面・口腔領域にも各種の疾患型及び機能形態異常が出現する.従って本症の歯科健康管理にあたっては特別の配慮が必要である.この研究では患者の口腔診査及びアンケート,さらに病棟スタッフによる観察記録からその問題点を抽出し,疫学的検討を加えてその医療対応を考察し,歯科健康管理体制づくりの足がかりとした.
対象はD型筋ジストロフィー症患者43名で,歴齢及び歯牙年齢を考慮して,A群(7~12歳:12名),B群(13~15歳:12名),C群(16~26歳:19名)に群別して検討し,次の結果を得た.
疫学的問題点
A群…乳歯齲蝕の放羅,ブラッシングの低下
B群…歯肉炎の増加,不正咬合の増悪(複合型),前歯外傷の出現.
C群…永久歯齲蝕の発現増加,歯肉炎及び歯石沈着の増加,不正咬合の悪化(混合型)
当面の医療対応
A群…乳歯齲蝕の早期治療,ブラッシングの定着化.
B群…定期診査の確立,ブラッシングによる歯肉炎の抑制,不正咬合促進因子の除去,前歯部外傷の防止.
C群…定期診査の強化,ブラッシングの積極的励行と改良,不正咬合要因の抑制,前歯部の補綴処置.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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