小児歯科学雑誌
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小児の治療時の外部行動表出の予測と心理検査に関する研究
高木坂本幼児・児童性格診断検査からの項目の選択について
福地 節子
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1984 年 22 巻 1 号 p. 76-86

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抄録
本研究は小児の歯科治療時の適応,不適応の予測に有効性の高い項目を高木坂本幼児・児童性格診断検査の項目より選択することを目的とし,本学小児歯科外来を訪れた歯科治療未経験の4歳から8歳までの小児186名を対象に実施した高木坂本幼児・児童性格診断検査の結果を,治療時の外部行動の観察結果別にA,B,C群に分類し,それらを主に多群判別分析によって分析をし以下の結果を得た.
1.被検者総数の高木坂本幼児・児童性格診断検査結果の11項目の内部相関行列は,「不安傾向」と「社会性」,「退行性」と「自主性」,「学校(幼稚園)への適応」と「社会性」,「攻撃性」と「顕示性」および「自制力」,「家庭への適応」と「自制力」および「攻撃性」の項目相互に相関ありを認めた.
2.A,B,C各群別の11項目の内部相関行列は相関ありを認める項目相互が異なっていた.
3.判別分析の結果,A群に対応する項目として「神経質」,「学校(幼稚園)への適応」,B群に対応する項目として「顕示性」,「自制力」,「自主性」,「体質傾向」,C群に対応する項目として「不安傾向」,「退行性」,「社会性」,「家庭への適応」が抽出された.
4.選択した5項目による多群判別分析結果と11項目による分析結果との間には大きな差は認められなかった.なお,このとき選択された項目は「家庭への適応」,「攻撃性」,「不安傾向」,「神経質」および「自主性」の5項目である.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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