抄録
我々は,倉敷環境保健所歯科クリニックに,昭和53年6月1日から昭和57年5月31日までに来所した0歳から6歳までの乳幼児1,865例について,乳歯齲蝕の疫学的調査を行い次のような結果を得た.
1.来所した初診人数は,昭和54年が497例と最も多く漸次減少傾向を示した.
2.来所した延べ人数及び予防処置を受けた人数は,年々増加傾向を示した.
3.齲蝕罹患者率は,0歳児0%,1歳児20.3%,2歳児49.4%,3歳児68.8%,4歳以上77.8%を示し,齲蝕罹患者率の年次推移は,特に有意差を認めなかった.
4.齲蝕罹患歯率では,1歳児5.0%,2歳児12.1%,3歳児18.1%,4歳以上27.6%であった.
5.歯別齲蝕罹患歯率では,上顎ではIが最も高く,IVが最も低く,下顎ではVが最も高く,IIが最も低かった.
6.乳歯齲蝕発生因子についての検索において,出生時体重では2,500g未満の低出生体重児が,間食の与え方では不規則に摂取している者が齲蝕の罹患性が高かった.