小児歯科学雑誌
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22 巻 , 2 号
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  • 永島 康弘
    1984 年 22 巻 2 号 p. 477-490
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,歯質中に存在して発育環境を的確に判定することのできる微量金属,特にCd,Zn,PbおよびCuを歯の組織構造と対応させて分析を行うことにより,乳歯歯質を解明しようとするものである.
    測定方法は,熊坂が確立したppbレベルの測定に極めて有効な,塩酸-アセトン混合溶液によるカラム・クロマトグラフィーとフレームレス原子吸光法を用いた.
    今回は,形成時期の異なる乳歯歯質を歯種別に分析することによって,歯の形成時期とその時期に取り込まれた微量金属との経時的変化に関する基本的情報を可及的に多く得るために,各歯種およびエナメル質-象牙質について微量金属の定量的な検索を行った結果,つぎのような結論を得た.
    1.乳歯歯質中の微量金属平均含有量は,エナメル質・象牙質で,それぞれCd:0.97±0.42・0.60±0.23Zn:179.78±29.45・151.23±20.50Pb:18.01±5.58・29.59±8.60Cu:7.51±2.16・4.55±1.54 }μg/gであった.
    2.エナメル質および象牙質中の含有量を比較すると,Cd,ZnおよびCu含有量はエナメル質で有意に高く,Pbは逆に,象牙質で有意に高かった.
    3.歯種別にみてみると,エナメル質および象牙質中のCd,Zn,PbおよびCuの4金属すべての含有量が,切歯で高く,後方歯種に向かって少なくなる傾向が強かった.
  • 後藤 讓治, 細矢 由美子
    1984 年 22 巻 2 号 p. 491-495
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    接着ブリッジは,若年者の歯頸部歯齦の退縮の対策になるほか,支台歯形成を殆んど必要としないことから,数々の利点を有し,若年者の永久前歯部の審美的な暫間ブリッジとして適したものと考えられる.
    接着ブリッジには,舌面板に接着保持を補うための保持孔を有するタイプのものがあるが,保持孔の役割に関する詳細な研究は少ない.そこで,保持孔についての検討の一環として,保持孔へのレジンの侵入状態を知る目的で,抜去歯牙に接着された舌面板5例に設けられた保持孔39例について,走査型電子顕微鏡を用いて観察を行い,次のような結果を得た.
    1)保持孔39例中,レジンの侵入状態が適正なもの11例(28.2%),過剰なもの6例(15.4%).一部不足なもの15例(38.5%),不足なもの7例(17.9%)であった.
    2)保持孔中へのレジンの侵入状態の不足は,舌面板の保持に支障をきたし,舌面板の剥離の一因になり得るものと考えられた.
  • 後藤 譲治, 町田 幸雄
    1984 年 22 巻 2 号 p. 496-503
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳前歯の審美的歯冠修復に,コンポジットレジンは多用されているが,乳前歯は歯質が非薄であるために,コンポジットレジンの為害作用を防ぐ目的で,適切な間接歯髄覆罩剤の応用を必要とする場合が少なくない.本実験の目的は,水酸化カルシウム製剤Procalを,人間乳歯のコンポジットレジン修復時の,間接歯髄覆罩法に応用した際の臨床病理学的検討にある.
    人間生活乳歯16例に対して,窩洞形成を行ない,窩底部に間接歯髄覆罩剤Procal応用後,コンポジットレジンAdapticを用いて充填を行なった.術後2日より71日に及ぶ臨床観察の後,病理組織標本として鏡検した.その結果,臨床的には全例無症状に経過した.他方,病理組織学的には,術後短期間例の一部には炎症性の変化を認めたが,これ等は,以後消退し,長期間例においては,修復性の象牙質の添加と正常な歯髄像を得た.
    本実験に認めた乳歯髄の変化は,乳歯窩洞形成後に認められる歯髄の所見と類似すること,コンポジットレジン応用後に認められる著明な歯髄の変化を欠くことから,本実験に川いられた間接歯髄覆罩剤Procalは,コンポジットレジンによってもたらされる歯髄の為害作用を遮断して,間接歯髄覆罩剤としての効果を発揮したものと結論した.
  • 森主 宜延, 松本 晉一, 永井 真弓
    1984 年 22 巻 2 号 p. 504-513
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    障害者の歯科健康管理は,障害者の歯科保健に対する自立性が大きな間題となる.
    この研究目的は,進行性筋ジストロフィー患者の口腔衛生状態ならびに歯みがきの自己管理能力を評価し,歯みがぎ指導法を検討することである.対象は,南九州病院にて生活する筋ジストロフィー患者70名であつた.調査方法は,歯みがき回数,歯みがき状態,歯ブラシの形態に対する希望,歯みがき時の呼吸に関する間題はアンケートにて行ない,歯みがき能力はdebris index score,歯みがき能力指数,歯みがき方法,歯ブラシの状態,津守の全IQ,A.D.Lにて行なった.以上による研究結果は次の通りである.
    1)アンケート調査結果から,歯みがき回数が1日3回の者は75 .4%であった.患者の歯ブラシ形態に対する希望は小さい歯ブラシであり,歯みがき時の呼吸に対する影響はなかった.
    2)口腔衛生状態は不良であったが,対象者の97%の者が歯みがき行動の自立が可能であると示された.歯みがき能力はdebris index scoreから,歯みがきによる変化は平均1.12である.頬舌側による差は示されなかつた.しかし歯群別では下顎前歯部と下顎臼歯部とで有意の差が示された.
    3)歯みがき能力に影響を与える因子はIQのみであった.
    4)この研究の分折法として使用した歯みがき行動能力指数はA.D.L.と有意に相関を示し,特に13歳以上では著明であった.
  • 山口 和史, 田村 康夫, 杉本 光庸, 徐 成徳, 辻 甫, 棚瀬 精三, 飯沼 光生, 上浦 美智子, 堰口 宗重, 前田 光宣, 吉田 ...
    1984 年 22 巻 2 号 p. 514-521
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    肢体不自由児施設内での歯科治療の実態を把握し,今後の心身障害児の歯科治療と口腔衛生管理のあり方について検討する目的で,5年間にわたる肢体不自児施設岐阜県立希望が丘学園内診療室での処置内容,定期検診の状況などについて調査集計し,検討を行った.対象は,歯科治療および定期検診のために受診した4歳から19歳の園児実人数168名,延人数479名である.
    病類別患者分布は,脳性麻痺児が各年度を通して約80%を占めていた.
    1人平均処置歯数は,53年度が4.1歯であったのが54年より減少し,57年度には2.6歯であった.処置内容は,乳歯では53年度で抜歯が50.9%と最も高い値を示したが,54年度以降は修復処置と齲蝕抑制処置が多くなってきた.修復処置はアマルガム充填と既製冠によるものが殆んどであった.永久歯ではアマルガム充填が大部分を占めていた.
    歯内療法処置については,乳歯では生活歯髄切断が大部分を占め,永久歯では感染根管処置が多かった.
    定期検診のみの人数と回数も徐々に多くなり,1人平均検診回数は,53年度で0.4回なのが治療が進むにつれて57年度には2.2回となった.
  • 北澤 良次, 一木 數由, 手嶋 文史, 塚本 末廣, 本川 渉, 吉田 穰, 福島 忠男, 宮崎 光治, 堀部 隆
    1984 年 22 巻 2 号 p. 522-532
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,歯質と接着する機能性モノマーを主成分とした試作レジンシーラントより5H-30(5H.),5S-30(5S.)を選び,PRISMA・SHIELD(P.),FISSURESEAL(F.),TEETHMATE-S(T.)とのエナメル質への各種接着強さと2,3の理工学的性質の比較検討を行った.
    1)無処理における接着強さは,5S.が他に比べやや高い値を示した.酸処理においては,いずれの実験においてもほぼ同じ接着強さであった.
    2)吸水量,摩耗量ともフィラーを含むP.,F.がフィラーを含まないT.,5H.,5S.に比べ低い値を示した.
    3)P.及びF.に含まれているフィラーは,P.はSiO2が主成分であり,1-5μmの塊状で含有量は51wt%であった.F.はTiO2が主成分で1-10μmの塊状を呈し,含有量はベースに1.3wt%であった.
    4)P.,F.の摩耗面は,P.が粒子径のそろったフィラーが均一に分散しており,フィラーの脱落が数個所観察された.F.は,粒子径がP.よりやや大きいフィラーが一部に偏在し,他の部分はレジン中にわずかに微粒子フィラーが分散する像が観察された.
  • 伴場 せつゑ, 杉原 惇, 田中丸 治宣, 町田 幸雄
    1984 年 22 巻 2 号 p. 533-541
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯は解剖学的形態の特異性のために窩洞形成中に露髄させる危険性が高い.そこで乳歯の窩洞形成に際して窩洞と歯髄腔との位置関係を熟知していることは重要である.今回は永久歯と特に形態の異なる下顎第1乳臼歯におけるODインレー窩洞と歯髄腔との位置的関係を明らかにするために本研究を企画した.
    被験歯はODインレー窩洞を形成した下顎第1乳臼歯17歯である.これら被験歯についてシリコン印象材を用いて印象採得を行い石膏模型を作製した.次いでこれら歯牙を硝酸アルコールで脱灰後,ツェロイジン包埋し,頬舌断(8歯)並びに横断(9歯)の連続切片標本とした.これら標本と石膏模型とを用いて窩洞と髄室との距離を計測した.
    その結果,咬合面部窩洞では,窩洞と髄腔が最も近接した部位は近心頬側髄角部及び近心舌側髄角部であり,窩洞と髄腔との最短距離は,平均値で頬側部0.16mm,舌側部0.49mmであった.また,近心頬側髄角は全ての髄角のうちで最も高く突出し,窩底より平均値で0.55mm上方の位置にあった.側室部で,窩洞と髄腔が最も近接していた部位は,頬・軸線角付近の歯齦壁寄り約1/4の部位と舌・軸・歯齦点角付近であった.それに対し,窩洞と髄腔との距離が最も大きかった部位は,頬側溝及び舌側溝付近であった.
  • 西嶋 克巳, 高谷 康男, 柳 治夫, 高木 慎, 貞森 平樹
    1984 年 22 巻 2 号 p. 542-546
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,5歳2ヵ月男児の左側下顎骨に発生し,放射線療法,化学療法を行い10年経過した現在歯,顎骨の発育不全はみられるものの,予後良好な肉腫の1例を経験した.
    1.初診時,左側頬部およびDE6にび漫性の有痛性腫脹および著明な圧痛が認められ,3週間前抜歯された6部の治癒状態は不良であった.さらにX線所見では左側の下顎小臼歯から下顎枝にかけ皮質骨の消失,および骨膜が層状に肥厚したと思われるいわゆる“onion peel”がみられた.
    2.治療はTele60Coによる放射線療法,シクロホスファミド,硫酸ビンクリスチンによる化学療法を行った.
    3.治療後10年の所見は,顔貌は非対称で,X線的には_??__??__??_歯の根の短小,7の埋状,左側下顎骨の強い発育不全が認められ,これらは放射線治療によるものと考えられた.しかしながら,器質的な異常はみられなかった.
  • 荻原 和彦, 米山 博己, 上原 正美, 三枝松 広高, 久世 紀行, 松尾 礼子
    1984 年 22 巻 2 号 p. 547-559
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児期の咬合を健全にしておくことは,咀嚼機能や審美性の回復を計ることと同時に,より望ましい永久歯咬合を育成するのに重要なことである.従来,これを咬合誘導といわれていて,基礎的にも臨床的にも多数の研究が行われてきた.しかし,乳歯咬合から,どのように診断し治療を施こし,どのような永久歯咬合に育成してきたかといった報告は余り多くはない.しかも,乳歯咬合で,後継永久歯である上顎左側永久側切歯が先天的に欠如していることが判明している症例において,永久歯咬合まで追跡観察した論文は著者らが調べた範囲ではみられなかった.
    本論文は,このような症例を長期的に観察することができ,治療経過途中で得られた連続口腔内写真,連続石膏模型,連続頭部X線規格写真などの資料を参考にし,治療経過の推移を述べるとともに,これらの資料を分折し,診断の妥当性についても検討した.その結果次のようなことが判明した.
    1)咬合誘導について今後論じてゆくためには,同一患者を長期的に管理できた資料をもとに展開されなければならないと思う.
    2)永久歯咬合まで育成された咬合が,その個体にとって正しい咬合であったのかどうかの客観的評価の必要性があるのではないかと思う.
  • 田中 英一, 保津 恭子, 村上 美保, 大野 紘八郎
    1984 年 22 巻 2 号 p. 560-570
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性エプーリスは,新生児の歯肉に生じた良性の限局した腫瘤の臨床的名称であり,その発現頻度は比較的稀である.
    今回我々は,歯肉の腫瘤を主訴に鶴見大学歯学部附属病院小児歯科を訪れ,臨床的に先天性エプーリスと診断された2症例を経験したので,その臨床所見と病理組織学的所見を報告する.
    症例1は,0歳6ヵ月の女児で,下顎前歯部歯槽部歯肉に小指頭大の腫瘤を認め,また,何らかの機械的刺激により,腫瘤に内出血が生じたためと思われる色調の変化がみられた.処置として,腫瘤の切除を行い,経過は良好であった.病理組織学的には未梢血管拡張性線維性エプーリスに類似の組織像であった.
    症例2は,0歳9ヵ月の男児で,上顎乳中切歯部口蓋粘膜に直径約7.0mmの腫瘤を認めた.腫瘤表面には潰瘍形成がみられ,腫瘤によるAの萌出障害もみられた.処置として,同部位の埋伏過剰歯とともに,腫瘤を一塊として摘出し,経過は良好であった.病理組織学的には,肉芽腫性エプーリスに類似の組織像であった.
    発生由来については,症例1で,X線写真所見で形成不全のみられた乳前歯,そして症例2で,腫瘤に近接して存在していた過剰歯との関連が臨床的に考えられたが,組織学的には明確にすることはできなかった.
  • 上田 茂樹, 西嶋 克巳, 松村 和良, 高橋 利近, 高谷 康男
    1984 年 22 巻 2 号 p. 571-579
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,倉敷環境保健所歯科クリニックに,昭和53年6月1日から昭和57年5月31日までに来所した0歳から6歳までの乳幼児1,865例について,乳歯齲蝕の疫学的調査を行い次のような結果を得た.
    1.来所した初診人数は,昭和54年が497例と最も多く漸次減少傾向を示した.
    2.来所した延べ人数及び予防処置を受けた人数は,年々増加傾向を示した.
    3.齲蝕罹患者率は,0歳児0%,1歳児20.3%,2歳児49.4%,3歳児68.8%,4歳以上77.8%を示し,齲蝕罹患者率の年次推移は,特に有意差を認めなかった.
    4.齲蝕罹患歯率では,1歳児5.0%,2歳児12.1%,3歳児18.1%,4歳以上27.6%であった.
    5.歯別齲蝕罹患歯率では,上顎ではIが最も高く,IVが最も低く,下顎ではVが最も高く,IIが最も低かった.
    6.乳歯齲蝕発生因子についての検索において,出生時体重では2,500g未満の低出生体重児が,間食の与え方では不規則に摂取している者が齲蝕の罹患性が高かった.
  • 小田 和子, 木村 光孝, 渡辺 尚海, 木下 孝昭, 谷口 康子, 石井 貴三男
    1984 年 22 巻 2 号 p. 580-593
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,1精査希望を主訴として来院した初診時7歳7ヵ月,女児のX線診査中に,低位乳歯に遭遇した.患歯はEであり,肉眼的にはE相当部歯槽頂部に瘻孔様の排膿孔を認めるのみで,X線学的には,歯冠部近心側3分の2まで崩壊され,ほぼ楕円形をした齲蝕様X線透過性亢進像を呈するもので,一部に明瞭な歯根膜腔を欠くところが認められる.
    光顕的には,崩壊歯冠部を被覆する患歯歯周組織は慢性肉芽性炎症像を呈し,歯冠部象牙質表層部は鋸歯状を呈し,その歯髄側には骨様象牙質の添加が著明に認められる.さらに歯髄組織はほとんど認められず,歯根膜様組織所見を呈している.
    電顕的には,歯冠部象牙質部には明瞭なるlaminationを示す斜断面も誤められる.
    以上の臨床所見,光顕的所見,電顕的所見より,患児の年齢における顎骨は骨成分が少なく未完成の状態であるが,こういう条件下でEは萌出を開始した.萌出後に近心側咬合面部が齲蝕に罹患し,それと時期を同じくして何らかの外的刺激が加わり,さらに隣在歯の萌出力,周囲組織の成長圧等により沈下していったものと思われる.
  • 渡辺 正知, 沖田 裕治, 多田 桂子, 鈴江 純史, 宮尾 益英, 西野 瑞穂
    1984 年 22 巻 2 号 p. 594-601
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    8歳3ヵ月女児の線状皮脂腺母斑症候群(LNSS)の1例を報告した.患児は在胎37週,正常分娩,体重3,100gで出生し,生下時より顔面に線状脂腺母斑を認め,点頭てんかん,精神運動発達遅延を有していた.LNSSの口腔領域の合併症としては,高口蓋,口蓋裂・口蓋垂裂,口腔粘膜異常,歯の異常などが報告されているが,歯科より詳細に報告されたものは,海外で数編をみるにすぎない.
    本症例では,上唇・頬粘膜・上顎歯肉・口蓋粘膜・舌の各部位において正中より右側に肉眼的異常を認め,歯肉・口蓋粘膜の生検で著しい錯角化と網稜の延長を認めた.上顎右側永久歯6 4321の歯冠近遠心幅径は日本人平均値(大坪)に比べ大きく,特に321は著しく大きく形成異常,異所萌出がみられ,開咬,歯列不正を呈していた.頭部X線写真による頭蓋・顔面の骨形態については,著しい異常は認められなかった.
  • 船越 禧征, 中村 弘之, 河原 茂, 稗田 豊治
    1984 年 22 巻 2 号 p. 602-607
    発行日: 1984/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    私たちは非チアノーゼ性心疾患23名,チアノーゼ性心疾患22名に対し歯科治療を行った.この内,心手術をうけた患児は,非チアノーゼ性心疾患14名,チアノーゼ性心疾患11名であった.治療手段は31名の患児には普通治療ないし抑制治療を行い,低年齢児で抑制下治療では心負担が増大すると考えられる14名には全身麻酔下歯科治療を行った.患児には心不全治療薬としてDigitalis,Lasix,Protanol,などが投与されていた.また,弁置換手術後には血栓症防止のためWafarineが投与されていた.
    Wafarine服用患児は抜歯にあたって後出血の危険性があるので,服用中止か減量を主治医と相談する必要がある.
    CHD児の歯科処置上の合併症として細菌性心内膜炎がある.そのため抜歯前にはPCやEMなどの抗生剤を投与する必要がある.CHD児の歯科治療は困難さを伴うことが多いので,治療よりも予防に重点をおいた方が効果的である.そのため保護者に歯口清掃の指導を行うと同時に,術者側はフッ化ジアミン銀塗布や予防〓塞などの齲蝕抑制処置を行ない,齲蝕の早期発見,早期治療に努めることである.
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