小児歯科学雑誌
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口腔に異常所見の認められたLinear Nevus Sebaceous Syndrome の1例
渡辺 正知沖田 裕治多田 桂子鈴江 純史宮尾 益英西野 瑞穂
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1984 年 22 巻 2 号 p. 594-601

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抄録
8歳3ヵ月女児の線状皮脂腺母斑症候群(LNSS)の1例を報告した.患児は在胎37週,正常分娩,体重3,100gで出生し,生下時より顔面に線状脂腺母斑を認め,点頭てんかん,精神運動発達遅延を有していた.LNSSの口腔領域の合併症としては,高口蓋,口蓋裂・口蓋垂裂,口腔粘膜異常,歯の異常などが報告されているが,歯科より詳細に報告されたものは,海外で数編をみるにすぎない.
本症例では,上唇・頬粘膜・上顎歯肉・口蓋粘膜・舌の各部位において正中より右側に肉眼的異常を認め,歯肉・口蓋粘膜の生検で著しい錯角化と網稜の延長を認めた.上顎右側永久歯6 4321の歯冠近遠心幅径は日本人平均値(大坪)に比べ大きく,特に321は著しく大きく形成異常,異所萌出がみられ,開咬,歯列不正を呈していた.頭部X線写真による頭蓋・顔面の骨形態については,著しい異常は認められなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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