小児歯科学雑誌
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先天性心疾患児の口腔管理について
船越 禧征中村 弘之河原 茂稗田 豊治
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1984 年 22 巻 2 号 p. 602-607

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抄録
私たちは非チアノーゼ性心疾患23名,チアノーゼ性心疾患22名に対し歯科治療を行った.この内,心手術をうけた患児は,非チアノーゼ性心疾患14名,チアノーゼ性心疾患11名であった.治療手段は31名の患児には普通治療ないし抑制治療を行い,低年齢児で抑制下治療では心負担が増大すると考えられる14名には全身麻酔下歯科治療を行った.患児には心不全治療薬としてDigitalis,Lasix,Protanol,などが投与されていた.また,弁置換手術後には血栓症防止のためWafarineが投与されていた.
Wafarine服用患児は抜歯にあたって後出血の危険性があるので,服用中止か減量を主治医と相談する必要がある.
CHD児の歯科処置上の合併症として細菌性心内膜炎がある.そのため抜歯前にはPCやEMなどの抗生剤を投与する必要がある.CHD児の歯科治療は困難さを伴うことが多いので,治療よりも予防に重点をおいた方が効果的である.そのため保護者に歯口清掃の指導を行うと同時に,術者側はフッ化ジアミン銀塗布や予防〓塞などの齲蝕抑制処置を行ない,齲蝕の早期発見,早期治療に努めることである.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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