小児歯科学雑誌
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自閉症児の歯科臨床における外部行動の検討と歯科受診協力性判定質問表の提示
森主 宜延甲斐 正子山福 ひろ子
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1985 年 23 巻 1 号 p. 187-197

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抄録
自閉症児は, 他人とのコミュニケーションの障害を特徴としており, 治療時に患者の協力を必要とする歯科医療においては,解決困難な問題を有する情緒障害児である。本研究は,自閉症児の歯科受診態度を推定するためのスクリーニング法の確立を目的とし,自閉症児用行動評定(CLAC-II)と,歯科臨床における外部行動の評価との関係を検討した結果,次の結論を得た。
1)自閉症と診断された小児は, 全て歯科受診に対して非協力的ではなく, 約4 0 % は協力的であった。
2)歯科受診に対する協力性は,日常行動評価と歯科臨床における外部行動評価との関係から,CLAC-IIにより初診時に判断できることが示された。特に判断上必要な項目は,対人関係や表現活動,さらに行動の自律であった。
3)歯科受診時の外部行動とCLAC-IIから, 歯科受診協力性判定質問表を作製した。
4)自閉症児の保護者に対する歯科受診のための指導に際して,TK 式診断グラフ評価の結果から,保護,服従に対する育児姿勢への教育的配慮の必要性が示された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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