小児歯科学雑誌
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マウスのStreptococcus mutansに対する齲蝕感受性について- とくに系統差による検討-
鈴木 敏史
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1985 年 23 巻 1 号 p. 198-203

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抄録

従来より医学領域では疾患モデルとしてマウスは,飼育条件が簡易であり,そして信頼性の高い実験成積が得られるなどの理由から広く用いられてきた。しかしながら歯学の分野,とくに齲蝕実験のためにマウスを用いた研究は多くみられなかった。
しかしながら著者らの教室では,従来よりマウスを用い翻蝕実験を行なってきたが,その結果,動物モデルとしてマウスが高く評価できる動物種であることを知り,今回著者は近交系マウスを用い,それぞれの系統差によるS.mutansの趣蝕感受性について検討を行なった結果,次のごとき結論を得た。
1.S.mutansJC-2(血清型c)を用いて鯖蝕に罹患させた結果,C3H/Heマウスの齪蝕スコアに比較し,他のC57BL/6,DBA/2およびC57BL/10の各系マウスは非常に高い値を示し,両者間に危険率1%で有意の差をみた。
2.S.mutans6715(血清型g)を用いて歯離虫に罹患させた結果,C3H/Heマウスの齲蝕スコアに比較し他の系統は高い値を示し,両者間に危険率1%で有意の差をみた。
3.同じ系統のマウスにS.mutansc型菌およびg型菌を感染させたときの齲蝕スコアは,c型菌が高い値を示し,とくにC57BL/6とDBA/2の2系統では危険率1%で有意の差がみられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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