小児歯科学雑誌
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巨大歯の1症例
赤木 真一竹内 京子
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キーワード: 巨大歯, 臨床所見, 咬合管理
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1985 年 23 巻 1 号 p. 215-234

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抄録
歯の大きさの異常には,巨大歯と矮小歯があるが,巨大歯は非常に稀で,過去に報告も少ない。今回,著者らは,鶴見大学歯学部附属病院小児歯科を訪れた7歳3ヵ月の男児にみられた巨大歯を経験した。その口腔内所見および治療経過について報告し,文献的考察を加えた。
初診時の咬合発育段階はIIIAで,非常に大きい1が歯冠1/2程度萌出しており,歯冠近遠心幅径は13.0mmであった。1年11ヵ月経過後,同幅径は13.6mmの値を示し,わが国で経験された巨大歯で,最も大きいものの1例であった。
また,1も11.0mmであり,他の萌出永久歯の歯冠近遠心幅径も1SDを超えるものが多数認められた。また,母方の家系に歯の大きい者が多くみられ,母親および姉の歯冠近遠心幅径も,1SDを超えるものが多数認められた。本症例は,全身的異常も認められず,これらのことより,遺伝的因子の関与が示唆された。
初診時の咬合状態は,前歯部反対咬合で,6|6の近心移動が認められた。その後,2|2が舌側に萌出してきたため,これらの咬合異常に対しては,Chincapおよび床矯正装置を装着し,現在も治療を継続している。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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