小児歯科学雑誌
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1歳6ヵ月児歯科健診に関する研究
第3報:1歳6ヵ月から3歳0ヵ月までの口腔内状態の変化について
井上 美津子臼田 祐子伊東 和子内田 武山下 登鈴木 康生佐々 竜二
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1985 年 23 巻 2 号 p. 308-322

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抄録

1歳6ヵ月児歯科健診を受診した小児の健診後の口腔内状態の変化を追跡調査し,乳歯萌出状態および齲蝕罹患状態を中心に検討した。対象は,健診後6ヵ月ごとの定期診査を3歳0ヵ月まで継続して受けた小児266名である。
乳歯の1人平均萌出歯数は,1歳6ヵ月の15.0歯から3歳0ヵ月の19.9歯まで漸次増加し,乳歯の萌出状態は1歳6ヵ月で最も多様な萌出型が観察され個人差が明らかであった。乳切歯は1歳6ヵ月で,第1乳臼歯および乳犬歯は2歳0ヵ月でほとんどの者に萌出が認められ,第2乳臼歯は観察期間中に萌出歯数が増加し,3歳0ヵ月では大部分が萌出していた。1歳6ヵ月で萌出歯数が少ない者では,第2乳臼歯の萌出が遅れる傾向がみられた。
齲蝕罹患状態は,1歳6ヵ月の罹患者率15.4%,1人平均齲歯数0.46歯から3歳0カ月の罹患者率68.4%,1人平均齲歯数3.97歯へと増齢的に増加した。歯種別齲歯率は,各時期を通じて上顎乳中切歯が高い値を示したが,2歳以降乳臼歯の齲歯率が急増し,下顎第2乳臼歯は2歳0ヵ月から3歳0ヵ月までの間で最も高齲蝕新生率を示した。2歳以前の低年齢で齲蝕が早発した者では,3歳0ヵ月時に齲蝕が広範化している者が多かった。乳歯の萌出状態と齲蝕罹患の関連をみると,1歳6ヵ月で萌出状態の進んでいる者は,その後の各時期で齲蝕罹患が高い傾向がみられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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