抄録
本研究は咬合干渉による小児咀嚼筋の筋緊張亢進の検査,および削合による咬合調整の効果判定について筋電図学的に検討を行ったものである。
被験児は,頭部後屈運動による緊張性頸反射時の左右側頭筋前腹の筋活動に,特に左右差の認められた小児8名(乳歯列期6名,混合歯列期2名)である。筋電図記録は咬合調整前と咬合調整後7日目に記録し,筋活動の振幅の大きさ,後放電の有無などについて比較検討を行った。
その結果,乳犬歯の水平的被蓋関係が左右非対称だと,筋電図に左右差が出現し易いことが認められた。顎運動時には8名すべてに,乳犬歯部の咬合干渉が認められ,乳犬歯部の削合による咬合調整によって,6名が筋電図学的に改善を認め,2名については充分な改善は認められなかった。以上より,小児においても緊張性頸反射を応用することによって,咬合干渉の有無の判定,そして咬合調整後の効果判定が可能であることが示唆された。