小児歯科学雑誌
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思春期における顎関節症症状の自覚の評価と臨床的診査に基づく発症との比較検討
大野 秀夫森主 宜延住 和代小椋 正
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1986 年 24 巻 2 号 p. 292-303

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抄録
著者らは,思春期の顎関節症に対する医療要望(demands)を探ることを目的とし,10歳から18歳までの男性1095名,女性1103名,計2198名を対象とし,アンケート調査を行った。さらに,同一対象者における臨床的診査に基づいた発症頻度との個別的比較から,自覚の意義の検討を行い,以下の結論を得た。
1)顎関節症の自覚頻度は,全体で253名(11.5%)であり,男女別では,男性129名(11.8%),女性124名(11.2%)で性差は認められなかった。
2)同一対象者における臨床的診査に基づいた発症頻度との個別的比較から,顎関節症症状の自覚が成人並に行え,その正確性に問題のない中学生が,予防管理開始年齢として妥当であることが示された。また,指導の鍵症状として,関節雑音が好ましいことが示唆された。
3)アンケートならびに臨床的診査における頻度,さらに“気になる”の3項目における関連性に基づいた評価から,高校生において,症状を正しく自覚し,その症状を"気になる"と意識している者の頻度は,男性3.4%,女性10.8%であり,女性が男性に比較し高値を示し,性差が認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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