日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
教育講演
間質性肺炎におけるアドバンス・ケア・プランニングの重要性
猪飼 やす子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2024 年 32 巻 2 号 p. 105-110

詳細
抄録

アドバンス・ケア・プランニング(ACP; Advance Care Planning)は,医療に価値観を反映させるプロセスであり,「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年改訂)」に概念が盛り込まれている.死は自ら体験し得ない現象であり,ACPは死にゆく過程への緩和ケアといえる.

急性増悪により間質性肺炎療養者の命にかかわる時,事前に意思表示の機会がなければ,医療に価値観を反映させることの保障ができず,その判断は家族に委ねられる.意思決定は,欧米では本人の自律が主流であるが,わが国では療養者と家族,医療者との関係性の中で意思決定を行う自律(relational autonomy)が一般的である.価値観を医療に反映させることは自律の原則への支援であり,ACPは重要である.

看護師は生活援助の際,療養者の生活習慣を確認し価値観をケアに反映させており,日頃からACPを実践している.Kalluri et al(2021)は,早期からACPの介入を提示しており,ACPは,Good deathへの援助といえる.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
次の記事
feedback
Top