小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
中学校生徒におけるDiscrepancyと歯科疾患
高木 興氏田浦 勝彦高橋 紀子塩野 幸一伊藤 学而
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 24 巻 2 号 p. 304-310

詳細
抄録

歯と顎骨の大きさの不調和であるdiscrepancyと歯科疾患との関係を明らかにするために,14~15歳の中学校生徒144名について本研究をおこなった。discrepancyはTweed法による叢生程度を示すArch Length Discrepancy(ALD)と,下顎前歯の傾斜度を示すHead Plate Correction(HPC)の和によって表されるTotal Discrepancy(TD)として定量化した。TDとALDの値に男女間の差は認められず,TDの平均値は-2.70であり,-21.5<TD<16.3の範囲にあった。また,男子のALDの平均値は2.89mmで,女子のそれは2.33mmであった。
DMFTとTDとの間に有意な相関関係は認められなかった。各種DMFTとALD間では,前歯DMFTとの間に5%以下の危険率で有意な相関があったに過ぎない。
次に,RussellのP.I.で評価した歯周疾患有病状況とTDとの間については,下顎歯のP.I.値とTD間に弱い負の相関関係r=-0.19(p<0.05)が認められた。しかし,各種P.I.とALD間には,いずれも有意な相関はなかった。
以上から,本対象者においては,discrepancy以外の要因の影響が齲蝕や歯周疾患の発病にとって大きいと考えられた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top